飛行船完成
「ほー。これが操舵用の仕組みか。」
そう言って親方はためつすがめつ、操舵室のコントローラやら、
計器やらを見て回る。
「側やこの線の引き回しはできそうだが、
この魔石の魔法の仕組みはさっぱりだな。
転写してコピーする分にはできそうだが・・・。
小型でも作れれば売れると思うんだよな~。
で、この間言っていた、温かい空気を入れておく仕組みを見せてくれるかい?」
「ええどうぞ」
言われて、信幸は製作にかかわったドワーフたちを連れて、
バルーンの接合部へと向かう。
「さっきの部屋から出ているこの線は何だ?」
「これは今からお見せする仕組みを魔力を使って
遠隔でコントロールするための線です。」
「ほー。さっきの操作用の魔石にそんなものも組まれているのか。」
「そうです。」
歩きながら、ドワーフたちの質問に答えていく。
「入口が狭いので一人づつお願いします。」
そう言われて、親方を筆頭に一人づつ覗いては降りを繰り返し、
全員が見終わると、代表して親方が信幸に質問する。
「こいつは、密閉するように言われたが、
中の何かを洩れないようにするためか?」
「そうです。」
「上の魔石はずいぶんデカかったが、大きさも変えられるのか?」
「ある程度はとだけ。」
「ほー。これらの魔石は売ってもらうことは可能か?」
「ま、そこは交渉次第というところで。」
「だよな。ま、商売の話はいいや。飛ばしてくれや。
作った側からすれば、そいつが重要よ。
一応記録するやつを外に待たせている。
確か、外に声を聴かせる仕組みもついているよな。」
「構造の説明はしなかったと思うのですが・・・。」
「馬鹿野郎。作り手なら、その辺はテストしながら、
部材の変更や構成を変更するわ。」
「ですよね~。ではさっきの部屋に戻って、親方は外の方に支持を。
記録用の魔道具は?」
「貸しで。」
「紅葉が外にいるので、もらってください。
てか、貸って、使ったら再利用が難しいじゃないですか。」
「だな。」
二人でひとしきり笑うと、拡声管で外とやり取りをする。
信幸はその間にバルーンに気体を満たすために、
魔力を流し、各種計器をチェックを始める。
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「すげー。飛行船なんて、初めて見ました。」
「あれに乗れるんだ。」
「でかー。」
「船体は船なんですね?」
富士、日野、大月が驚き、宮城が本体部分について質問をする。
「部屋と運用の関係で、あの構造が一番作りやすいんだよ。
飛行機やロケットだって、屋根をなくせば船の形になるぜ。」
拡声器から信幸の声が聞こえる。
「気球部分にくっついているから、見えないだろうが、
接合部分はドーム型になっている。
横から見ると飛行機に見えるだろうよ。
ま、魔法のある世界だ、ガラス張りだから、
よく見ないとわからんだろうがな。
セット完了したから、乗ってくれ。
テスト飛行をする。」




