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女教師無双する

「はい、これ。一部始終を記録した宝玉。」


「おぉ。これですか。して使い方は?」


「魔力を流せば映像が流れるわよ。」


「こうですかな。おぉ!これは。おや?音も少しですが聞こえますな?」


「え?うそ?」


「おや?ご存知なかったのですか。」


「あ。ははは。実は、私その道具の使い方は知っているんだけど、

 どうも、魔力の継続出力が安定しなくって、使いこなせないのよね~。」


「ということは、記録中は魔力を流し続けなければならないと?」


「そう。消すときは一気に強烈な魔力を流せば消えるんだけど。

 記録中は、魔力を流しつつけなければならないのよ。

 そこが難しくって、強すぎると記録用の術式を破損させてしまうし、

 弱すぎると記録が途切れ途切れになってしまうっていう。

 再生は弱い魔力でも流している間だけだから、

だれでも見ることができるんだけどね。」


「は、は~。それは得意不得意がありますな。術式は解析しても?」


「将来は公共まで広めるんであればどうぞ。秘匿はしないでね。

 それはこちらとしては望んでいないから。」


「しかし、これは情報の収集という観点を考えれば・・・。」


「そんな大きな宝玉をもっていたら、気づくから。

 私の弟も、小型化を考えていたけど、無理だったのよ。

 術式が複雑すぎるの。小さいものには書き込めなかったみたい。」


「なるほど。では、会議の議事録や戦闘の記録、

演劇の記録に使えるように手配しましょう。」


「お願いね。4つほど渡しておくわ。アン。」


どこからともなくメイドが現れ、記録用の宝玉を宰相のジャークスに手渡した。


「随分と優秀な方ですな。こんな方は屋敷にいましたかな?」


「私の仲間よ。私と最初にあった時にもいたんだけど。」


「だとすると、ますます優秀ですな。気づきませんでしたし。」


「そう、ね。私の仲間は皆優秀だから。」


「では、公爵の件はここまでにして、騎士団を紹介しましょう。」


「私の生徒も顔合わせに参加させてほしいんだけど。」


「まだ、未成年でしたよね。」


「私の世界では、学生もいろいろと経験を積ませるのよ。」


「さようですか。ですが、邪魔にならない程度にお願いしますよ。」


「じゃあ、城門の前にいるから、寄ってもらってもいいかしら。」


「構いませんよ。」


そういって、城門に歩きながら、会話をする。


「邪魔にならないかって話だけど、

 私の世界の生徒なら、その辺の兵士より優秀だと思うもの。

 何なら、宰相殿の下でお手伝いをさせてもいいけど?」


「そんなにですか?そこまでおっしゃるなら、

機密度の低い業務でも手伝ってもらいますかな。」


「いい経験になると思うわ。お互いに。知識や経験はお金で買えないもの。」


「そうですな。商人の奉公人や下女、下人のころから働いているもののほうが、

 その辺の貴族より優秀な場合もありますからな。」


そんな会話をしていると城門についた。


「さあ。みんな。騎士団の訓練の様子を見せてもらいましょう。」


「屋敷で練習をしていればよかったのでは?」


「実際の騎士の訓練風景なんて、現代では見れないんだし、何事も経験よ。」


「確かに。」


「異議なーし。」


ぞろぞろと生徒を伴って、訓練場まで歩いていく。


「おやおや、これはこれは宰相殿。」


厳つい巌のような男性が訓練所に入ると声をかけてきた。


「これはこれは軍務卿。こちらが昨日お話をした。

カザマ殿とその学生さんです。」


「ほほう!どんな厳つい女性が来るのかと思えば、

ずいぶんと整った容姿の女性ですな!」


と驚きつつ、


「立ち姿にスキがない。」


と小声でつぶやいた。その声を近くにいる生徒と宰相は辛うじて聞き取れた。

王族と王国の治安を維持する役職の存在にとって、目の前の女性は脅威であり、

反意を抱かせるわけにはいかない存在と判断をくだしたのである。


生徒たちは純粋に紅葉の強さに感嘆したように感じたが、

宰相は適格に意図を読み取った。


「それで、彼女は何がご要望で。」


「なんでしたかな?」


「魔物の狩りの容認とできれば定期的に生徒たちの見学を認めてほしいの。」


「ほほう。」


そういって、軍務卿は生徒たちの品定めをする。


「これはこれは。なかなかの粒ぞろいですな。」


「見学だけでいいのよ?」


「なんの見学だけといわず、あなたがそのものたちを訓練するときに、

ともに訓練をさせていただけるなら、

こちらの訓練にも参加していただいてもかまいませんぞ。」


「あまり、無茶をさせて壊したくはないんだけどね。」


「ははは。毎日でなくてもかまいませんので、どうですかな。」


「考えるわ。狩猟の方は。」


「ご自由に。成果は私が対応しましょう。宰相殿は毎日忙しい故。」


「すまんな。」


「なんの。それで、訓練の方を考えていただけるなら。」


「対価ね。」


「ははは。話が分かるお方だ。」


「将軍!」


「なんだ。訓練を続けろ!」


「訓練より、なぜその女から我らが教えを請わなければならないのか

教えていただけたい。」


軍務卿は溜息をつきながら、口を開こうとするが、紅葉がそれを手で制した。


「いいのよ。なめられたくないから。私が力を見せればすむもの。」


「さようですな。」


「あと、先に謝っておくわ、再起不能にしたらごめんなさい。」


「受け身をとれぬような兵なら、不要ですな。雑用にでも回しますわ。」


その会話を聞いて、紅葉赴任時の練習試合を思い出した生徒たちは震えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「では、試合形式で行う。双方前へ。」


「お願いします。」


紅葉は礼をして、訓練場の舞台への上がる。

対して、相手はぶすっとした顔で、舞台へと上がってきた。


紅葉はその様子を見ながら、


「1秒。」


とつぶやいた。


「では、構え!始め!」


ードンッ!ー


軍務卿の始めの合図とともに轟音がなったかと思うと、

紅葉が相手がたっていた位置に立ち、相手の姿は消えていた。

周りでヤジを飛ばしていた兵士は無言になり、

生徒たちは自分たちがやられたよりすさまじい現状に唖然とした。

将軍はしばらく唖然としたが、目をつぶりやはりなとため息をついた。


しばらくすると、訓練場の壁が崩れる音が響き、そちらを見ると、

さっきまで試合をしていたはずの兵士が足を伸ばした状態で座りこみ

気絶している姿が目に入った。


「これでは止めることもできないか。」


軍務卿のつぶやきが静かな訓練場に響いた。


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