箱庭持ちの物量戦-衝突準備編-
「いや~。売れる売れる。輸送費も仕入れもないから、安値で売れるので、
大儲けですよ。」
「まっ、それが私と信兄の強みよ。でも、これが終わったら、
自力で仕入れをしてよね。」
「ええ、ええ。この元手で、工芸品や乾物を売り歩けば、商売はできそうです。」
「分かっているわね。腐りにくいのは売りやすいこと。」
「そりゃあもちろん。魚や野菜、肉は日持ちしないので、
輸送には向きませんから。」
「いいこと教えてあげる。挽いた小麦などの穀物、
塩、香辛料、砂糖、酒、発酵食品は日持ちするから、
買いだめしておくといいわよ。軽いし、高く売れるから。」
「なるほど。覚えておきます。」
「さてっと。もう少しかしらね。」
「何がです?」
「この国と商業ギルドがしびれを切らすのが。
もう一か月近くこんなことをしているから。」
「ああ、そうですね。そろそろ、騒ぎそうですよね。」
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「巷で噂の商人の件ですが、庶民の人気は高いようです。」
「貢物や税も払わんような奴らはいらん。捕らえて死罪にしろ。」
「それが、王国公認の商人らしく、そうもいかず。
事を構えると、王国との戦争に・・・。」
「何?忌々しい、そうだ御用商人は何と言っておる。」
「もうしばらくしたら、連邦から私兵が入国するので、
目をつぶってほしいっと。」
「ふむ。ふーむ?うん。その私兵にわが国のものを混ぜよ。
さすれば大群で押しつぶせよう。」
「はっ。わかりました。」
そう返事をすると、兵は礼をし、部屋をでる。
(ふふ。そうですそれでいいのです。)
「はっ。精霊様の御心のままに。」
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「六花、あと数日で戦争だ。」
「そう。用意をしておくわ。にしても、ぎりぎりでいうわね。
ずいぶん前にわかっていたんじゃないの?」
「俺だけで対処しようと思ったが、中々どうして、人数が膨れ上がった。
海戦にした方が包囲されずらくていいかもしれない。」
「は~。そういうこと。そう、ね。水の精霊の思惑に乗るのは癪だけど。
それはありね。防御は流、海流の操作は私、攻撃は秋姉、信兄が補助で。」
「そう。船は秋姉と信兄の合作で。」
「リベット不要の鋼鉄艦かー。うーん。うん。そうじゃなくて、例のあれある?」
「あれって。う~ん?あれか~。」
六花からあれといわれ、流治はできるかを考える。
「素材の置換と拡大をどうする?」
「私と秋姉でやるわ。」
「そう。そうかー。うーん。おやじとおじさんに怒られぞ。」
「そこはコピーすればいいのよ。」
「あー。うん。そうか。そうすればいいのか。」
「で、どう?」
「わかった借りてくるよ。」
「楽しみにしてるわ。」
「ところで、船室と砲弾はどうするんだ。」
「そこはイメージと魔法のでばんよ。」
「さいですか。」
そう言われ、退路がないことを悟った流治は、
しぶしぶと目をつぶり、意識を手放した。




