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水路を巡って

「気持ち良いわね。」


六花は水流を、流治はその後ろの船を風で動かしながら、

川を下って行った。


「流そっちはどお?」


横の水晶に向かって話しかける。


(通信状況、周囲状況ともに良好。

 だが、嫌な予感がすごい。)


「天然の【直感】、【予測】持ちのあんたがそれをいうと

 洒落にならないのよ。」


(こればかりは仕方ない気がするが、気を付けるべきだろう。

 男女で別れたが、これはこれでバランスがいいな。

 属性の偏りも少ない。分断されても対処できそうだ。)


「そうね。何事もなければ、このきれいな景色をゆっくりと見て周りたいわ。」


(だな。)


そんな会話をしながら、下っていく。


しばらくすると、六花と流治が怪訝な顔になる。


「やってくれるわね。」


(だな。精霊も人間のことをよく理解している。)


「六花どうしたの?」


紅葉は二人の会話を聞いて、質問をする。


「もう、しばらくすると海にでるんだけど、

 これはなかなか面倒ね。おそらく、島同士で争っているわ。」


(原因は何がある。)


「そこは流のほうが詳しく調べられると思うけど、どう?」


(ちょっと待ってくれ。・・・・。これは複雑なうえにやられた感があるな。

 漁獲量の現状、商人の増長、農地の荒廃。

 話の内容からするとこんなところだな。)


「そう。あと、こっちでも人心を操っている感触があるわ。」


(やっかいだな。火種をまいて、かつ魔法による精神操作か。

 どうにかできるか。)


「無理ね。一つづつ解決しましょう。流!一番近い船着き場は?」


(下り切って、左の港がいいと思う。)


「了解よ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「これは・・・。」


船を下りた生徒は港の様子を見て絶句する。

そこはスラムのように薄汚れ、みすぼらしい恰好の人々であふれていた。


「やっぱりね。これは厄介ね。」


船を片付け終えた六花と流治がいう。

そして、先頭に立って歩き始める。


「何がやっぱりなんですか?」


その後ろを慌てて追いかけながら、名取が六花に問いかける。

その問いかけに商館を探す六花に代わって

歩きながら流治が答える。


「ここは才能の神がいる町だ。その加護が弱まり、かつ、精霊たちが、

 流通や食料の生産に手を加える。すると、活力が奪われ、

 あぶれる者が増える。

 おそらく、状況からするに武の神、商業の神も甘言に惑わされているか、

 操られているかして、この状況に拍車をかけているのだろう。」


「じゃあ。神を戻しても、今のこの状況では・・・。」


「そう、意味がない。そのうえ、新たな火種になりかねない。」


「今からどこに行くんです?」


「商館よ。そのあと食堂かな。」


六花が足を止めて答える。目の前には立派な商館があった。


「さて、情報を集めて。原因を取り除きましょう。」


「じゃあ。俺は、気配を消して、向いの屋根の上で、町の様子を探るわ。」


そういうと流治は消える。


「さあ、行くわよ。」


そういうと、戦に移動ような顔で、扉を押した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「塩、野菜、麦、米、魚。値段が上がったのはこの辺。

 発生は約2か月前加速したのは1か月前。逆算すると、水の精霊が痛手を負って、

 土の精霊が倒れたあたり。」


「もともと、農地は荒れていたみたいです。。」


「みたいだね。結構長いことこの辺りの土地は弱っている。」


「だが、農地とそのほかの部分で顕著だな。水脈をずらされているのかもしれない。」


紅葉たちは町から離れた場所に船と馬車をだして、焚火を囲み集めた情報を報告しあった。


「貴族と大規模な商会は黒に近いグレーだ。」


そんなことを言いながら、暗闇から流治が現れ、バインダーを六花へと渡す。


「全然気づかなかった。」


「気づくはずないじゃない。それが、本職だもの。」


驚いた大野に、六花が答える。驚かれた流治は苦笑しながら、

折り畳みの椅子を腕輪から出して、座る。


「なるほどね。国と国を行き来できるだけの船か、財源のある商会が

 倍近くで売っているわけか。貴族はそれを見て見ぬふり。

 の上に、便乗している感もあると。

 王族の誰かが主犯かな~?」


「とりあえず、食料をぼったくりから奪うか、買い取るかするか。

 俺らで商売をして、適正値に戻すかだな。」


「う~んどっちにしろ長期戦か~。」

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