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女教師断罪す

「くそ!どうして、私がこんな目に合わなければならんのだ!

 あの臭くて暗い場所で1日も過ごすことになるとは。

 由緒ある我が家に対してあるまじき仕打ち。

 こうなれば、他国に取り入り、再起を図らねば・・・。

 確か死んだ叔母は隣国の出であったはず、そこまで行けば。」


捕まった公爵のブルウェルは見張りと犯罪者集団の力を借り、牢からでると、

急ぎ自らの邸宅へと向かった。

邸宅が他の者にわたり、資産が抑えられている旨を

犯罪者集団のリーダーから聞き、

隠し財産の奪取と住んでいる者をとらえ奴隷として商人に売り払えば、

それも金になると算段をつけ、そのでっぷりとした体を揺らしながら、

邸宅へと急いだ。

犯罪者集団とは懇意にしているため、成功報酬での約束を取り付け、

すでに邸宅の強襲を命じた。


「さて、急がねば、夜が明けぬうちにこの王都をでなければ、

 面倒だ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「よし!一抜け!」


「え~!また~。」


「先輩、強すぎっすよ。」


旧公爵家へと引っ越した紅葉たちは

邸宅内を見て回ったあと、各自の部屋割りと食事を済ませて、

紅葉の部屋に集まった。

今後の方針を話すためだそうだが、


「流治!?どこ!?」


ーガタッー


「あっつ。」


急に何かを叫び、勢いよく紅葉が立ち上がり、周りを驚かせた。

その後、なんでもないと手を振り、普通にお茶を飲み始めた。

そして、しばらくすると、顔を険しくさせ、近くに控えていた、

レイに何かを耳打ちした。レイはそれを聞いて周囲を見回すと、

紅葉にうなずいた。


「みんな。ちょっと、お客様が来たみたいだから、対応をしてくるわ。

勇。クリス。」


そう紅葉が呼ぶと、羽織に袴姿の武士と大柄な男が突然現れる。


「ちょっとの間、守ってあげて、面倒なお客っぽいから。」


そういって、部屋を出ていく。


「面倒なお客って?」


芽衣子は武士の方にだずねる。


「襲撃者ってとこだろ。」


それを聞いて、ああと全員が納得する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「侵入成功。よし、気配を探れ。」


犯罪者集団のリーダーと思われる人物が、隣の男に命令をする。


「2階の広めの部屋に9名。それ以外は見当たらない。」


「よし、各員に通達。俺の合図でっ。がはっ!」


男は襲撃の手順を説明しようとして、何者かに後ろから殴られる。

朦朧とする意識のなかで、襲撃者を見ようと振り返るが

そこにはすでに誰もいなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ふぅ。ふぅ。やっと、着いた。どれ、すでに片が付いているはずだし、

 正面から入るとするか。」


運動をしていなかったブルウェル、息が上がってしまい、裏門まで周らず、

正面から屋敷に入ることにした。


屋敷の玄関まで続く、外灯が照らす道を堂々と歩いていくと、

玄関の前に何か山のようなものが見えた。


さらに近付くとそれは、手足を縛られ、猿轡をした犯罪者集団であった。


「なっ!!」


それを見たブルウェルは絶句した。なぜなら、自分の行動が筒抜けで、

しかも、阻止されたことを示しているからである。

それを呆然と眺めていると不意に女の声が聞こえた。


「こんばんわ。元公爵様。」


声をする方に視線を向けると

赤毛のピシッとしたスーツを着た美しい女性が目に入った。

いつもなら、どう手に入れようかと考える状況だが、

なぜか、目に入った途端にがたがたと恐怖を感じる。


「だ、だれだ。」


「おや。忘れたのですか。」


そういわれて、考える、目の前の女性はあったことがあるという。

どこでだ、一度見ればその容姿は忘れようがないものだ、

そこまで、考えて、不意に頭に蘇るものがあった。


「お、お前は。もしかして、私の腕を切った・・・。

 いや、あれは夢では・・・。」


「ああ、やっと思い出していただけましたか。」


「や、やはりあれは夢ではなく。では、お、お前が私を。」


「そうそう。勝手に召喚した挙句。

 奴隷にしようとしてくれちゃったからね。」


「き、貴様のせいで・・!」


怒りがふつふつと沸きはするが、恐怖で尻つぼみになってしまう。


「わ、私をどうするつもりだ。」


「あんたを殺してもいいという許可はもらっている。おとなしく死んでね。」


そういうと、紅葉はどこからともなく

白銀のきれいな両刃のロングソードを取り出した。

その髪が白く輝き始める。


「や、やめ。」


「そう言った者を何人殺した?」


ブルウェルはその様に恐怖をして、回れ右をして、走りだそうとするが、

何時の間にか目の前に女がいる。


「へっ。」


間抜けな声を上げるが、首から下は何か高熱の物で焼かれたがごとく消え去っていた。


「うー!!」


気づいた犯罪者集団がそれを見て、恐怖で声を上げる。


「地獄の業火に焼かれろ。生易しい罰ではあるが、

 これで、少し溜飲が下がった。」


そういって紅葉は剣をけし、元の赤毛へと戻った。


「レン、アン。あと片づけはお願い。」


「「はい。姫様。」」


それを聞いて、紅葉は屋敷へと入っていった。




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