精霊と呪具
解析部屋に六花が呪具をもって、入ってきた。
「2個目ですか?」
「そう。順調に回収できたみたい。」
「例のドールの性能は好評のようですね。」
「こちらの世界では魔法が使えないからね。
補助および構築をしてくれるあのドールは
使える人が使っても優秀のはずだから。」
そんな話をしているとドールが入ってくる。
『マスター。憑依用ドールの量産ラインを整えました。
あと、封印用ドールも予備も含めてライン化しました。』
「ありがとう。」
『それが、例の呪具ですか?』
ドールは覗き込むように六花の手にある呪具を見る。
「そうよ。」
『まるで、ダンジョンコアですね。』
「えっ。どういうこと。」
『それ、まるで、小世界ですよ。ただし、悪意だけの小世界ですけど。』
「なるほど。ダンジョンコアっか。そうね。そう。
それなら、精霊を安定して固定できるうえに、思考をコントロールして、
力に指向性を持たせることができる。」
「精神系の呪具だと思って、術式の解析をしていましたから、
もう少し解析をし直しですね。」
「そうね~。エンデとフレイ、流にも手伝ってもらわないと。
空間と時間、創造と虚無がないと、解析が難しいわ。
はぁ~。」
『一応、流治さんからの依頼がもう少しでできます。』
「何だっけ?」
「人形兵器?とかいってましたけど。
信幸さんと紅葉さんも超乗り気でしたよ。」
「あ~。あれか。えっ!あれもうできたの?ハリボテじゃなくて。」
『いつの時代の話をしているんですか。ハリボテは2年前に卒業しました。
最近はしっかりと中身の機構を練って、試験機も作っているんですよ。
重機や異世界の技術で物理的な動き、動力は魔法と科学のハイブリット、
後、魔法と科学の融合で、それこそSFに届いたと自負しています。』
「うは~。そっちも量産ライン作っているの?」
『まだ、専用機とその予備パーツのラインぐらいしかできてません。
以外と複雑で、組み立ても大変で。出力が高い人たちが使うんで
壊れないようにするの大変なんですよ。』
「まぁ。そうよね。そこから、性能を落として、量産化か。
できあがりそうな専用機は?」
『紅葉さんが一番楽ですね。次に信幸さん。で、六花さんで、流治さんです。』
「あれ、私のは?」
『マスターは六花さんの機体を少しスペックダウンしたものになりそうです。』
「あれ、それなら、美幸の方が私のより、先では?」
『あれ、それもそうですね。』
「私や流はゆっくりでもいいわ。なんなら、ハリボテでも。」
『緊急時はそれで行ってもらいますけど。がんばります。』
「取り敢えず、戦力的に必要な、紅葉と信幸は急ぎで。」
『了解です!』
そういって、ドールは解析部屋を出ていく。
「厄介ね。これを作れたことが・・・。」
「まさか、あれと同じ存在が他にもいるのでしょうか?」
「そうでないことを祈るわ。
でないと、これはあの世界だけの問題でなくなるもの。」
「ですね。あれ、一体でも手を焼いているのに。」
「でも、あれは流が対応したわ。」
「いつです!?」
「ついこの間。因縁に決着をつけれて、清々していたわ。」
「まぁ。結構な弱体化に成功しましたからね。
ですが、作ったものは未だに存在しますけど。
消せないんですか?」
「それは管理者にとってもシステムにとっても、
無理なことよ。」




