亜神の本気
信幸と紅葉が生徒が通ったであろう道を急いで来ると、
山の手前で魔物が高く積まれ、その近くで死体を埋める姿があった。
「何してんだ?」
「魔物の襲撃があったので、その時の死体を埋めているのです。」
名取が代表して答える。
「信幸さん。がんばりました。」
「だな。」
近くで穴を掘っていた富士が声をかけてきたので、
信幸はその頭をなでた。
「燃やせば良いのでは?」
「それも考えたんですけど、トンネルが掘れなかったので、
秋ちゃん達を待っていたんだ。
その時に素材もとってもらえば良いかと思って。」
宮城の言葉に、紅葉と信幸は顔を見合わせて、そして、
名取に説明を求めた。
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「なるほどね。」
「酸素と暗闇の問題か。」
「そうなんです。」
「トンネルも土龍一人では難しいか。」
『すまんの。力が本調子ではなくてな。』
「う~ん。どうする?信兄。」
「3人でやるぞ。」
「それしかないか。」
「朝一で3人で、トンネル、明かり、縦穴の設置をする。
今日はよく休め。」
そういって、信幸は戦闘と後片付けで疲れたであろう生徒を休ませて、
紅葉とともに狼とゴブリンの解体を行うことにした。
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「あー。くそ。俺らもいればなー。もったいない。
皮は使えるのはそんなにないか。
いや、この辺の魔法と思われるものは・・・。
つぎはぎすればぎりかなー。大物のものは無理か・・・。
まぁ。一撃では無理だし、仕方がないか。
魔石はーっと。おお。よしよし。この間の地下での負債はこれで払えるかなー。
うん。よし。」
群れのボスのものであろう掌大の魔石2個は信幸が手に持つと、すーっと消える。
この間の緊急限定解除の前借分の支払いがこれで完了する。
「なかなね。これだけの群れ相手に、被害が実質なし。
龍との連携方法の勉強もできたし。結果は完璧かな。」
「だな。名取かな。采配がはまった感じだな。
あと、あれだけの魔石を持つやつだから、舐めたことをしたのかもしれんな。
驕れる者は久しからずってね。」
「欲をいえば、毛皮分だけっか。」
「まだ、無理だろう。あいつらだけで、大規模戦は。
生物との戦闘経験の少なさと生物を殺すことに対する忌避感が
まだ、ぬぐえていないだろう。」
「そう、ね。安易に生物を殺すような子になっても困るし、
この辺りが落としどころね。」
「でだ、多いな。ゴブリン、狼含めて、数十匹。
逃れた群れもそこそこ。
まあ、リーダーがまた生まれるまでこの辺りも平和かな。
処理は面倒だけど。」
「私も切っては燃やしは、もう面倒だわ。」
「そういうな。お前の食費にもなるんだから、補給が受けれなくても知らんぞ。」
「く~。私もゲームをしたい。」
「子供かよ!」
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ーカッ!ー
ーゴゴゴゴー
「「「おお!」」」
紅葉と土龍の力で穴が掘られ、
信幸と火龍、紅葉で穴を固めて、支える。
「ちっ!これでも半分か。」
「中継地は広めにしたわ。」
「ダンジョンか、主の領域に当たっていないといいがな。」
信幸がそういうと、
「フラグたてないでください。」
大月が苦笑いをしながらつぶやいた。




