女教師は怒られる
「なぁ。」
目の前に紅葉を正座させ、低い声で信幸は話しかけた。
「何で、戦ったーぁ?俺らの任務は神の力の回復だよなぁ?」
ドスの効いた声でなおも続ける。
「秋ちゃんホント戦闘馬鹿だよね。」
宮城がそれを見ながら小さい声で言う。
「土地神の力を回復させないとだめだって言われているのにな。」
名取がそれに同意して同じく小さい声で返す。
「強そうなものと戦いたいという性なのかね~。」
富士も呆れたような声で話す。
「だって~。気絶させないと通す気、無さそうだったんだもん。」
紅葉は俯きながらそう反論した。
「それでもやりようがあったよなーぁ。違うかぁ?」
「うっ。」
そう指定され、言葉を詰まらせる。
「お前らならどうする?」
そう信幸に急に振られ一瞬びくっとしたが、
代表して、神戸が口を開いた。
「威圧。圧倒的な力量差がわかるような武技。初手を譲り耐える。といったところでしょうか?」
「さすがだな。教わっているか。」
「ええ。事戦闘に関することは制圧方法含めて概要ぐらいは。」
「それを教えているお前が、何やってんだ!!」
「ひっ!」
「しばらくそうしてろ。ったく!はー龍の方はともかく。こっちの祠は。うーん。
納められている剣がぼろぼろだな。代わりの剣を奉納するか。」
「では、お仕置きを込めてこちらを。」
「えっ。あっ。それは・・・。」
急にアンが現れ、一振りの刀を差しだす。
それを見た紅葉が立ち上がり止めようとするが、
信幸に人にらみされ、再び俯いて正座をする。
差し出された刀を鞘からだし、皆で検分する。
「こいつは。」
「きれ―。」
「紅葉様のコレクションの一振りです。」
「はっ。そりゃー。申し分ないな。」
ーシャー。チィッン-
信幸はその刀に宿る思いや、気配に納得をし、納刀する。
それを見た紅葉は名残惜しそうな顔をして、ガックリと肩を落とした。
「折角手に入れた名刀がー。」
「どうせ。任務の報酬だろ。影打ちか、廃棄品の修復品ってところか。」
「うう。」
「へ~。こういうのも報酬何ですか?」
「ああ。俺たちの仕事はそういうつながりもあるから、
たまに現物支給の時もある。
個々人で現物分の報酬はことなるが、こいつの場合はもっぱら、刃物だな。
まぁ。こういう時には役立つわな。」
そう、富士の質問に答えて、信幸は刀を祠に安置し、
祠と洞穴に何やら祝詞を唱え刻んでいく。
すると、祠が一周りほど大きくなり、そして、洞穴全体に温かい空気が満ちる。
すると、槌を持っち、作務衣を纏ったずんぐりとし男性が現れた。
「感謝する。異界の方。これで、このあたりの土地は
再び、わしの管理に置かれた。」
「礼には及ばない。こちらも粗相をしたからな。」
「ふふふ。こうしてみると、凄まじいなお二方は。
神の気配を抑えているようだが。
少し漏れている。」
「ま、本体ではないからね。漏れもする。だが、よく見ないと分からないだろ?」
「ええ。ところで、そろそろ、起こしてもらえませんかな。」
「そうですね。紅葉。」
「へーい。」
そう返事をして、紅葉は変身をし、龍に手を当てて、エネルギーを分け与えた。




