祠の主
<ムッ。この気配は・・・。>
そのものは守るべき祠を後ろに周囲1kmを炎で覆い、
伏せていた。
何かに気付いたそのものは目を薄く開け、つぶやいた。
<何者かが来た。女神にこもるように言われ、幾瀬霜。
珍しい。忘れ去られたこの場所に来るものがいようとは。
だが、何者だ。人?いや人形?なんだこの気配は・・・。
神と人、それに人形の気配がする。>
<そのものらは通してもよいぞ。>
<友よ。それはどういうことだ?>
<女神が解決できるものを用意したと、連絡が来た。
そのものは女神より理を知る者とのことだ。>
<それは・・・。すさまじいな。
そういわれてみれば、あの憎い精霊の気配が消えているな。>
<ほぅ。そのものらが倒したのかの。>
<ふふふ。>
<あまり、派手なことをするな。>
<いいではないか。一手試合てもらいたいだけだ。>
<やめておけ、女神でさえ、畏れたものだぞ。>
<それでもだ。>
<やるなら、麓でやってくれ。ここで暴れられてはこまる。>
<ふふふ。>
<は~。>
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「あと、どれくらいですか?」
「そうね。もう少し?」
「信さん?」
「もう少しなのは間違いない。
少しは信用してやれ。」
富士に質問された、信幸は苦笑を浮かべなら答えた。
「体育会系の後少しは信用できなくて。」
「それも、そうだな。体力お化けの後少しは1時間だったりするからな。」
富士の返しに信幸は納得する。
<主、目の前に。>
「ほら、見えて、え~。」
青龍に促されて、青龍の後ろから覗き、その風景に絶句する。
「どうしたんです?」
「「「「こ、これは。」」」」
後ろから、それぞれ覗きこんだ、生徒も絶句する。
「うん?」
最後に覗いた紅葉は何に絶句しているのかわからず首をかしげる。
<主、前方の空間の周囲はあの炎で包まれて入れ、迂回路はない。>
「まじか。」
「ああ、なるほど。なら私の出番ね。」
青龍のセリフで、絶句理由を理解した、紅葉は胸を張ってそういう。
「それは。却下して~!」
信幸はその提案に苦い顔で叫ぶ。
それを後ろで見ていた。宮城が提案をする。
「私と大月、大野は炎に耐性をつけたので、潜れると思います。」
「マジか!」
その提案に振り返り、名前を言われた3人をまじまじと見る。
「確かに。これなら、騰蛇と朱雀をつければいけそうだな。
二つの意味で。」
そういって、喜色を浮かべる。
「何で、そんな顔をするかな。」
言われた紅葉はジト目で信幸を見る。
「胸に手を置いて、よく考えろ。日頃の行いが生徒と俺に言わせているんだ。」
生徒もうんうんと頷く。
「でも、気をつけろよ、人形の媒体は木でできているから。
危なくなったら、朱雀と騰蛇に言えば、
短時間であれば炎除けをしてくれるから。」
「「「はい!」」」
「では、紅葉を頼む。」
「「「はい!」」」
元気な返事に紅葉は肩を落とした。
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<良くぞ来た!小さき者よ。>
炎を潜り抜けた6人の前に炎のような赤い龍が首と羽を広げ、立ち上がっていた。
「で、でかい!」
「まさか、あれと戦えってことはないよね。」
「いや、ないない。」
<あ~。主の嫌な予感が当たった感がする。>
<だな。>
驚き、苦い顔をする5人の横で、紅葉だけはキラキラした顔で龍を見る。
「祠を先に確保しよう。」
宮城がそう提案すると、他の4人もハッとして、周囲を探す。
すると、龍の後方に小さな社が見えた。
<<「「「「まじか~!」」」>>
<ふふふ。気づいたか。祠にたどり着きたければ。我を下せ。さぁ。来い!>
如何にも戦闘開始のような宣言をする龍。
「ふふふ。」
<<「「「えー。」」」>>
突然、聞こえてきた笑い声にその声の主を5人は見る。
そこには籠手を着けた紅葉が手を鳴らしている姿だった。
「縮地。」
そう紅葉がつぶやくと、その姿が消える。
そして、龍の方で大きな音が聞こえる。
「話し合う気ゼロ。」
「さすが、脳筋。」
「止める間もない。」
<だが、これで、俺らは祠に迎えるな。>
<だな。>
5人は戦闘に巻き込まれないように、炎の壁に沿って、祠に向かった。
そして、手を合わせた後、納められていた剣に触れる。
<すまんな。>
5人が触れ終わると頭に声が聞こえた。
<どうも大人しくしておった、時間が長かったもので暴れたいようなのだ。>
「ああ、そちらもですか。」
<とういうと。>
「あの人も最近暴れたりなかったようで。」
<おおう。そうなのか。まあ、それでは仕方がないのう。
すまんが、わしが傷つかんようにしてもらえんかの。>
<それは是非もなく。>
「それに、もうしばらくすれば終わると思う。」
「そうだね。」
戦闘の様子をみると、紅葉が圧倒していた。
しかも、防具もつけず、限定解除もせず、武器の力だけで、圧倒していた。
<知ってるか。あれで、25%くらいで戦っているだぜ。>
<そうだったな。兄弟姉妹の中で唯一の武闘派というのは
伊達ではないということか。>
「それ、初耳。」
<まあ。言うこともないからな。>
「まあ、納得できるけどね。古今東西の戦闘術が使えるんでしたか?」
<そう。>
「お!終わる。」
そう、大野がいうと、紅葉が気絶した龍の横腹の上で
拳を突き上げているところだった。




