賢者と無意味な・・・
「えーとこの資料は・・・、こっちで、軍と財務の関連はここで、
六花のところに連絡するようはこっちで、
外務関係はここで・・・。」
信幸は国に今まで保管されていた資料から、国力を各分野ごとに算出し、
今後の国家運営の基礎を作ろうと資料作りに奔走していた。
その間も王なき城の修繕やエンデが輸送してきた人員の配置、
インフラ関連の相談等、当初は一人で裁決していたが、
それを見た母が、見かねて、財務状況の資料だけは
試算や実績の算出、計画の立案を時間の許す限り手伝ってくれた。
アンやレイも代理承認や人員の配置に関しては、サポートを行い、
入城から3週間たらずで必要な資料を作成しきった。
「で、できた。(ガクッ)」
「では、コピーをしておきます。」
そういって、アンは静々と資料を手に、
生徒に勉強を教えているであろうエンデの下へと向かった。
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ーバンッー
「た!大変です!」
「なんだよ~。休ませてくれよ~。」
机に突っ伏して寝ていた信幸は門番の慌てた声で目を覚ます。
「南の諸侯が兵を率てやってきました!」
「はぁ~。面倒な。王なき椅子でも狙いに来たか。まぁいい。
紅葉の教育もだいぶ終わったはずだから、
国の近衛と国軍、私兵で対処しよう。
紅葉に出陣を要請してくれ。俺はもうひと眠りする。
あと、アンを見かけたら、資料はいつ頃できるか聞いておいて・・・。」
「明日、エンデ様がお持ちするようです。」
「うおっ!ビックリした。いたのかよ。」
衛兵の後ろから静かに現れたアンに驚く。
「私とレイもでます。」
「ああそうだな。頼むは。」
「では、行きましょう。」
「は、はい。」
アンが衛兵を連れて出て行ったのを確認して、再び机に突っ伏した。
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「・・・に の・にぃ 信兄!」
ーゴッ!ー
「いってー!!紅葉。幾ら鞘に入っているからって、剣で叩くなよ!
せめて、せめてその辺にある本か、書類でハリセンを作ってそれで叩いてくれ!」
頭をさすりながら、顔をあげながら紅葉に文句をいう。
「寝てるのが悪い。何度もゆすったのに起きないんだもの。」
「どれくらいたったんだ?」
「出兵してから一日よ。」
「もう、”明日”か。ふー。さて、行くかね。」
「書類は私とレイでお持ちいたします。」
「捕縛した貴族も、椅子に縛り付けてあるわ。」
「あー。ご苦労さん。まぁ、そうだよな。
人員不足で、牢に入れるわけにいかんしな。」
「また、起きても、秒で片づけるから、問題はないわ。」
「サイですか。」
「はー。面倒だわ。」
そういうと、信幸は立ち上がり、会議室へと向かった。
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ーバンッ!ー
信幸が勢い良くドアを開けると、
それまで騒がしかった会議室が
俯くものと、入り口に注視する者に分かれる。
俯いている者は見な一様に縛れれている。
注視したものは、やっと来たかと安堵するものと、
推し量るような目で兄妹を観察しているものがいた。
(面倒だな~。)
信幸は上座に向かいながら、小さくため息をついた。




