女教師拠点を手に入れる
「さて、君たちの一時拠点だが、用意ができた。」
「何かと思えば、随分と用意が早いのね。1週間ぐらいかかるかと思ったわ。」
「仕事をやりながらで申し訳ないが、そのあたりを説明しよう。
ジェークス。」
「はい。では、説明させていただきます。あなた方を召喚したのは、
魔法院の院長のマグダル、我が国の3つある公爵家の一つ
テイセルの当主、ブルウェルです。
よって、慎重に調べを進める予定でしたが、
もともと目をつけていたこともあり、
投獄後、すぐに兵を屋敷に向かわせ、資産の差し押さえを行いました。
その際、地下の座敷牢に、複数人の子供が閉じ込められていました。」
ードンッー
王と紅葉は同時に拳を打ち付ける。
「お二人とも冷静に。」
「すまない。」
「ごめんなさい。続きを」
「はい。執務室を調査し、資料を手に入れたところ、誘拐、違法な人身売買、
窃盗、身分を使っての談合、ゆすりなどの証拠を入手し、
家宰、メイド等から話を聞いたところ、
当主になる以前から、行っていたとのことで、
王権を発動し、明日にでも死刑を実施する予定です。
また、彼の物の資産は王国の所有物となったことから、
昨日のお話のとおり、一時拠点として、
モミジ・カザマさまに譲渡いたします。
あと、できればなのですが・・・。こちらを。」
「これは?」
「あの屋敷に雇われていたものの一覧です。」
「雇ってほしいと?」
「そうです。」
「給金は出せないわよ。」
「1か月は支払わなくてもよい。これは奴隷として扱っても構わん。」
「どうして?まだ、幼い子もいるじゃない?」
「罰です。いくら逆らえない立場であったとはいえ。
報告や相談がなかったことと、
人身売買等を見て見ぬふりをしたという。」
「なるほどね。いいわ。雇う。
後、こちらからもいくつか質問をしたいのだけど?」
「どんなことだ?」
「1つめは、お金を稼ぐ方法。2つめはお風呂をためる方法。
3つめはお抱えの商人か、市場を案内してほしい。
4つめは元公爵は死刑ってことだけど、私が見つけた場合殺しても大丈夫?」
「1つめは魔物と呼ばれるものを狩っていただければ、お支払します。
詳細は明日にでも近衛兵と王国軍を紹介しますので、
軍団長か兵長にお聞きください。
2つめはあの家には贅を尽くした設備がありました。
魔石に魔力を注ぐとお湯が出る仕組みの 物が風呂場にありましたので、
お使いください。使い方は?」
「多分わかるは。」
「ですよね。生徒さんたちの腕輪、魔道具のようでしたし。」
「よく見ているわね。」
「3つめは。後ほど引き合わせますので、その際に。
4つめですが、できれば、生きたまま国へ
引き渡していただけないでしょうか。」
「頭だけは残すし、殺した際も魔道具で記録して、提出するわ。
あの男は生かしておく価値がない。
生かしておけば、またどこかに消えるでしょう。」
「そんな魔道具があるのですか?!」
「無いの?結構簡単なんだけど。提出するときにでも教えるわ。」
「すみません。取り乱しました。質問は以上ですか?」
紅葉はうなずく。
「公爵は逃げると?」
「ええ、捕まったお金持ちはどうにかして、逃げるわ。」
「で、あろうな。あれは絶対に逃げる。憎いやつほど長生きをする。」
紅葉は渋い顔でうなずいた。
「そうですか。・・・。さて、御用商人をお待たせしています。
そのあと屋敷までご案内しますよ。
王よ。私がいないからといって、仕事をさぼらないでくださいよ。」
「わかっておる。あ奴のせいで、余計な仕事が増えて、休む暇すらない。」
王はため息をついて、二人を見送った。
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「おお。宰相殿。お待ちしておりました。して、この度はどのようなご用件で。
おや。後ろの方は?美人ですな。」
「あまり、彼女のことは詮索をするな。ただし、ものの取引はしてほしい。
わかったか。」
「わかりました。王国の信用は失いたくありませんからな。」
「それでよい。では、モミジ殿、こちらは、御用商人商人のコクオ。」
「コクオです。」
そういって、手をだす。
「コクオ。こちらは、モミジだ。」
「よろしく。」
そういって、差し出された手と握手を交わす。
「コクオ。この度、彼女は旧テイセル家の屋敷に住むことになった。
そこで、お前が御用商人として、通ってほしい。」
「旧ですか。」
「そうだ。あの家は取り潰しだ。関わった商人、親戚は
奴隷落ちになることが決まった。
そこで、お前にしばらくの間彼女の御用商人をやってほしい。」
「承りました。モミジさまよろしくお願いいたします。」
「よろしく。」
「では、明日にでも、彼女をうかがうように。何かと入用だろうからな。」
「わかりました。用意をして、お伺いいたします。」
「うむ。では、下がれ。」
コクオは礼をして、出ていく。
「では、皆を連れて移動しますかな。」
そういって、ジャークスは生徒がいる部屋により、
外に待たせた2台の馬車で旧公爵家へと向かう。




