女教師は大食いをしながら説明をする。
「皆さま、ご夕飯の用意が整いました。」
そういって、アンとレイが各自を席へと案内をする。
紅葉と信幸が机の短辺の席に対面で座り、
あとは学年順で両端から座る。
そして、主菜が来たとき、ふと何かを思い出したのか、
紅葉が信幸を見る。
「にょぶふい、ほうほくんん・・・。」
紅葉は口にこれでもかと詰め込んだ状態で何かを言うので、
誰も聞き取れない。
「姫様、お行儀が悪いですよ。少し、落ち着いてから、
報告をお願いいたします。」
脇に控えていた、アンがたしなめる。
ーモグモグー
ーゴックンー
「ふー。信兄、報告があるんだけど。」
-報告なんだ。さすが、従者。-
生徒が変な関心をしているのを他所に、
紅葉が水路の完成と、ダンジョンの発見の報告をする。
「守護者の復活はできそうか?」
「う~ん。五分五分かな。気配は薄いけど、
完全に残骸になっているわけではなかったから、
できるできないで言えばできそう。
恐らく火龍と鍛冶神だと思うんだよね。雰囲気から。」
そういって、右肘をテーブルに着けながら、
手に持ったナイフをくるくる回しながら言う。
「まっ。私の勘だけどね。」
そういって、再び口いっぱいに食べ物を詰め込む。
信幸は一緒に行った青龍と玄武を呼び出す。
「さっきの紅葉の感じた気配は感じたか?」
「微弱ではあるがな。」
「是。ですが、属性及び権能の判別はできませんでした。」
「それはいい。相克でいえば、詳細の判別はできまい。
紅葉一人に行かせるわけにはいかんし・・・。
まだ、試験も終わらないし、これ以上の調査は無理、だな。
戻っていいぞ。」
信幸は式神を戻すと、今後の予定を頭のなかに組んでいく。
取り敢えず、紅葉に仕事を振らないと突っ込みかねないので、
それから考える。
「うわっ。まだ、食べるんですか?
俺ら、こっちじゃそんなに腹減らないんすよ。」
そんな声が聞こえ、紅葉の方を見る。
恐らく10枚目であろうステーキを切り分けていた。
「それは。本来であれば、魔法を使用しなければ、
皆さんの体は本来作り物ですから、エネルギーを使用しません。
が、姫様はご自身が保有する能力のため、
エネルギー不足はあっても、上限はほぼございません。
なので、皆さまが食事をするのは嗜好品を嗜むたのと変わりがありませんが、
姫様は仕事をするためにも、食い溜めをする必要があるのです。
また、今回は少々働きすぎたので、姫様も過分に摂取しておりますけど。」
レイが紅葉を見ながら、説明をする。
信幸はその様子を見て、ため息をつきながらも、
冷めてしまった自分の分の食事を片づけることにした。
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「ふ~。美味しかった。家じゃあこんなおいしいの食べれないもんな。」
「お褒めに与り光栄です。
こちら、チーズケーキとバニラアイスに木苺のソースをかけたデザートです。
紅茶とコーヒーをご用意していますので、お好きな方を仰ってください。」
配り終えたところで、信幸が声をかける。
「食べ終わったら、明日以降の予定を説明するから、
そのままゆっくりしてくれ。」




