女教師水路を見ながら考える。
「えーと。王城側の水路の入り口はここだから・・・。」
埋没式の水路にしたため、肉眼での確認は不可能のため、
汲み上げた水が流れているかを確認するために、地面に手を着き、
水路を辿っていく。
「う~んと、こっちね。さぁ、行きましょう。」
水路の経路を確認し終わった紅葉は、再び、歩き始める。
足元に水路を感じながら、劣化している部分を補修していく。
「はぁ~。面倒ね。一気に直せたら楽なのに。」
「なぜそうしない?」
紅葉のつぶやきを拾った青龍が問いかける。
「ふ~。そうれね。あまり魔力のストックがないのよ。
水路を作ったときに、結構使っちゃったから。
水路の作り直しに使用すると、私、動けないし。
アンは信兄のところだから、食べ物もないし。
回復と消費の帳尻が合わないのよ。」
「なるほどな。信幸のように前借タイプではないわけか。」
「そうよ。私は過剰ストックタイプ。魔力とは別にエネルギーをためて、
それを利用して、魔法を発動しているから。
そのうえ、食料供給が追い付いていないから、補給もままならないし。
今後どうしようかな~。」
そんなことを言いながら、紅葉はため息をついて、立ち止まり、空を見上げる。
「どのみち、信幸様と童たちの仕事待ちでは?」
玄武が紅葉を見上げながら、聞いてくる。
「それはそうなんだけど、土地の管理担当は復活させておきたいのよね。
このあたりに一体はいるはずだから。」
「どうしてそう思う?」
「六花は3体がこの国のどこかにいるといった。
そして、精霊はこの場所を拠点としていた。
あとは、何となく。かな。」
「最後は勘ですか?」
「そう、戦士と女の勘。」
「いまいちあてになりそうでならない理由だな。」
「ま~。今は取り敢えず、水路を修理しましょう。」
そういって、再び、水路に沿って歩き出す。
(勘とは言ったものの。鍛冶師が元々この場所にいたから、拠点にしただろうし。
何より、フラッと町を見た感じ、設備は整っていた。
なら、素材か祠があったから、ここに住み続けていた可能性があるんだけど、
う~ん。こんなの私が考えることじゃないな。
やめやめ、調査なんて私のがらじゃない。)
そんなことを考えならも、歩きながら、修復をきっちりとこなしていく。
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「はぁ~。やっと接続部についた。どれどれ。水は出ているかなーっと。」
埋没式であり、山肌に植物がなかったこともあり、水は透明度を保ち、
城へと入っていく。
「ふー。これで作業終了っと。さて、戻って、アンにご飯をもら、ん?」
紅葉は何かを感じ、後ろを振り返る。
「これは?ダンジョンの残骸と神域の残照?はは~ん。」
「勘、当たりましたね。」
「そうね。若干お膳立てされた感じはするけど、問題はこれで解決ね。
だがしかし、私はお腹が減ったので、また明日ってところかな。」
「突っ込まないんですね?」
「もう、突っ込む気力もないよ。さー、明日明日。もう、1秒も働きたくない。」
そういって、紅葉は二人を置いて吹き抜けを飛び降りた。
残された二人は肩をすぼめて、ふっと消えた。




