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賢者の政④

「は~。もう当分洞窟はいいや。」


「ははは。悪いな。」


そんな声が下へ降りる階段から聞こえ、生徒たちは階段へと目を向ける。


「やーっとよ。あー明るいっていいわ~。」


そういって、髪の長い女性が暗闇の奥から現れる。


「六花さん?」


「は~い。みんな元気にしてた?不甲斐ない姉に変わって、

 呼ばれたから来たわ。」


若干疲れた顔をしながら、六花は手を振って生徒たちに挨拶をした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ほ~。これが・・・。ふむふむ。うーん。なるほど。」


六花は眠っている土の精霊の少女を見回す。


「うーん。結びつきは悪いけど。器として機能はしているわね。

 あーこれを見てわかったわ。なるほど、やっぱり属性に合わせないとだめね。

 これもあとで改修するわ。秋姉にやらせればいいか。その辺は。

 でも、何で狂ったのかしら?」


首をかしげる六花を眺める信幸に富士が声をかける。


「あの玉のことを話した方がよいのでは?」


「あ、忘れてた。ありがとう。富士君。六花。これなんだが。」


「な、に!?」


振り返り、流治の手にあるものを見た六花が後ろに後ずさる。


「どうした?」


「私が聞きたいよ。それどうしたの。」


「これがコアだったみたいなんだが。」


「コア?精霊にコアは必要ないわよ。」


「はぁ。ならこれは。」


「これが、精霊の中に?だとしたら。ああそういうこと。

 この術式なら、はは~ん。」


「六花?」


「しまった方がいいわ。それ。えっと。そうね。この中にいれて。私が回収して、

 本部で解析班に厳重注意の上、解析させるわ。」


「お、おう。」


言われた通り、六花が生み出した水の中にいれる。

すると、黒いよどみが放出されるのが、目立つようになった。


「う、うわ。」


「やっぱりね。仮説だけど暴走の原因を聞く?」


「ああ、教えてもらえるか。」


そういわれ、玉を仕舞いながら、六花は口を開く。


「術具なのよね。それも、契約した精霊や魔物を住まわせる類の。

 で、それが、術者の意図なのか偶然なのかはわからないけど、

 人の欲望といった負の部分を吸収して、暴走したっぽいわ。

 もともと、同属性の力を吸収する術式があったのと相まって、

 貯めすぎた力と精霊の意志で周囲の魔素を吸収しながら、

 具現化する術を手に入れたみたいね。

 で、長年の負の部分だけが、この玉に残り、純粋な精霊力は吸収され、

 この二つになったというわけ。」


「原因は分かったがそれは紅葉以外どうにかできない気がするのだが。

 というか、水と風に対してどうにかできるか?」


「そうね。吸収して、コアとなっている玉を外さないと精霊が元の形に戻らないし。

 う~ん。考えておくわ。」


「おい。」


「まぁ。信兄もしばらく、この国で足止めでしょ。

 復興支援しなきゃならないし。」


「くっ。」


「取り敢えず、私は本部に戻るわ。じゃね。」


私の調査は終わったといわんばかりに六花は水の輪を作り、さっさと消えた。


「が~!!」


それを見ながら、信幸は首の後ろを掻きながら、叫んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


しばらくして、落ち着いた信幸は天一に救いだした人々の様子を聞いた。


「衰弱していますが、私が様子を見ながら、回復を施しています。

 食料の調達をお願いします。」


「そうだな。六花がいれば狩り班と採取班、監督班に分けるんだが・・・。」


「主。我々が生徒とともに狩りと採取にいきましょうか。」


天空が提案してくる。


「そう、だな。六合と天空、白虎は生徒を連れて、採取と狩りに。

 俺は取り敢えず、城下町の担当と話しをしつつ、料理ができる奴や、

 食料の備蓄の確認を行う感じでいいか?」


「え~っと。」


名取が、生徒に目配せをして確認をする。

すると、神戸と富士が手を挙げて、


「残りたいです。」


「僕も。」


「どうしてだ。」


「一人でやるより、サポートがいた方がいいですよ。」


「ふむ。」


信幸はその提案に一考する。


「主、お言葉に甘えてはいかがですか。神将を呼ぶのもいいですが、

 残っている者の性格を考えますと使えるのは太裳ぐらいでは。」


「あーっと、勾陳、天后、太裳だな。玄武と太陰は、うん。

 青龍はあれは戻ってきたら、休憩だな。だとすると天后はだせなくなる。

 勾陳と太裳だが、太裳は狩り系だし、勾陳は騰蛇とセットでだすには

 六合の補助が欲しいしな。うん。言う通りサポートが必要だな。」


そういって納得した信幸は、富士と神戸にサポートをお願いすることにした。

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