女教師変身す
「あ~き~ね~。新しい体よ~。」
「その言い方。」
「秋姉に合わせて、土人形の筐体にしてみました。あと、ここにについている剣で
こう体を回転させて地面に円を描いた後に、こう両手で突き刺してみて、
面白設定をしておいたから。」
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そんな会話を昨夜行い、あの兄妹の面白そうな顔を思い浮かべ、
一抹の不安を抱えながら、中庭と思しき場所に出る。
「さて~。あの子たちの面白いの定義が嫌な予感しかしないのだけれどっ。」
そう独り言を言いながら、腰の剣を抜き、言われた動作をする。
すると、描いた円から溶岩が噴出し、溶岩が形状を変えながら、
紅葉の体への装着される。
普通の人なら、熱だけで火傷するような状態ではあるが、
最初にびくっとしただけで、紅葉はその円の中にたたずみ、
溶岩が引くのを待った。
そして、引いた後に自分の体を見ると、ゲームの竜騎士のようなシャープな兜に、
ゲームに出てきそうな鎧を模した薄いオレンジ色の肩あてと胸当て、籠手
そして、上と同じ色のミニスカートぐらいの大きさの腰鎧から
これまた同じ色のスカートが伸びていた。
しばらくすると黒い半透明のバイザーが目の部分を覆う。
「遊んでるな~。」
急に噴出した溶岩に驚いた信幸が駆けつけ、現れた紅葉の様を後ろからみて、
声をかけた。
「本当にね。」
苦笑しながら、紅葉は返す。
すると、バイザーに何やら文字が現れる。
「何々。チュートリアル?」
<チュートリアル。まぁ、秋姉なので、こんなのを用意しても
使わないかもしれないので、要点だけ。
①この鎧は秋姉が使う白炎の鎧をモチーフに遊び心を込めて作成しました。
よって、この形態に変身する際のエネルギーは消費しません。
一部の高出力系のみ魔法や技は補助はしますが、
秋姉のエネルギーを利用します。
②秋姉が苦手な出力魔法。例えば、ファイアボールやストーンニードル、
対象物体の土や火の中の強制移動もエネルギーを使わず、
イメージだけでできます。
③魔石の位置を教えてくれる機能を入れました。
まあ、そんな機能は必要ないかもしれないけど。
あと、毒物判定機能をつけようかと思いましたが、
ごり押しの秋姉には不要だと思い、やめました。
以上、3点です。後は考えるな感じろな秋姉は実戦や演習でお願いします。
それでは。>
「ごり押しって。それに考えるな感じろって。」
「え?違うのか?」
チュートリアルを見ていた紅葉に信幸が近づき、
ぼそっとつぶやいた紅葉の言葉に反射的に突っ込む。
「すごいな。ほ~。人形だからこそできた技術か。」
肩に手を当て、術式を確認した信幸が感嘆の声を上げる。
「そんな?」
「あ~。これはいわゆる科学と魔法の複合だ。すごいぞ。
前から流治達や六花が取り組んでいたとはいえ、ここまで仕上がっていたとは。
概念を映像で保管し、どういったものかを明確にしつつ、
魔法のイメージの補完にも映像を使って、
それを魔法陣や術式に紐づかせている。
確かにこれなら、俺らのフルパワーにも耐えつつ、制限を埋め込める。」
「よくわからない。」
「だろうな。」
苦笑しながら信幸は肩から手を放す。
「紅葉様。信幸様。お手紙です。」
二人の近くの土が人型をとる。六花の土の精霊のようだ。
「ありがとう。ノーム。」
「いえ。では、わたくしは家に戻ります。」
そう言って、手紙を渡すと人型は崩れて、元の地面に戻る。
「えーと何々。お姉とお兄へ
私達と生徒の改修用人形ができるまで、しばらく私は親孝行のため、
元の世界とユグドラシルでの業務を行います。本音を言うと疲れたのよ。
取り敢えず、土の精霊は初期化されているので、
信兄と秋姉で調整をお願いします。
あと、そこには火龍と鍛冶神、土龍がいるはずですので、
確認と回復をお願いします。
最悪、土の精霊を生贄に復活をお願いします。
一度訪れた場所なら、信兄なら、空間移動可能と思っています。
できないならエンデに相談してください。
カスタマーサポート機能を秋姉の人形に付けました。
それで呼び出しはできるはずです。
それではしばらく連絡しないでください。おやすみなさい。
六花
だそうよ。」
「まぁ。仕方がないか。」
「よね。」




