改造人形
「で、言われたシステムを入れてみたんだが、
お前これ完全に遊んでいるよな。」
「ワシでもわかるぞ、昔みた、特撮っちゅうやつだろ。」
「ふふふっ。改造人間ならぬ改造人形。
ま、本当はメモリースティックやメモリーカードぐらい
コンパクトにしたかったんだけどね。」
「まだ、無理だろう。表の技術がまだそこまで達していない。
後十年たてば数百GBのメモリーが売りに出されるはずだから
そしたらだな。だが、いいものができた。
低用量のメモリースティックを大量に使ったとはいえ、満足いくできだ。」
「だな。術式の記憶は数年前からやっていたからこそのできじゃ。」
「盛り込んだ機能は?」
「鎧の具現化。各種武器の生成。腕の武装化。
火に関する記憶と大地の記憶のインプット。
紅葉の苦手とする出力系魔法の補助。ってとこかな。」
「上出来。展開のキーワードは?」
「そこはまだ決めていないんじゃ。」
「なににするよ。」
「オーソドックスに変身?」
「それじゃつまらんじゃろ。」
「着装?」
「いつの時代だよ。」
「メイクアップ?」
「厳ついのにそれはない。」
「「「う~ん。」」」
「3人とも何してるの?」
「げっ六花。」
「単なる器のはずに何時間をかけているの?何よそれ。」
六花は工房につかつかと入ってくると二人が作った
入れ物をまじまじと見る。
「何これ。随分とまぁ。でもいっか。これなら。で、何を悩んで、はは~ん。
キーワードがまだなのね。」
内部に保管されている術式を読み取り、六花が指摘する。
「そうなんじゃ。」
「確かに変に設定して、勝手に発動したら困るものね。
そうね~。でも、キーワードじゃあつまらないわね。
こう地面にサークルを描いて、剣を両手で突き立てたら、
発動するようにしたら。」
「あ、採用で。ていうか、乗り気だね、六花。」
「それはね。流。私だって、魔法使いや美少〇戦士にあこがれているもの。」
「さいですか。」
「もちろん私たちのも作る予定よね?」
「今検討中ですよ。姫様。一応騎士っていうのはモチーフにしやすいんだよな。」
「そうね。変身ものって一応は鎧かタイツの感じだものね。それか巨大化か。」
「そ~なんす。」
「で、一応私たちのイメージはできているのでしょう?」
「信さんは賢者ですからね。ローブで頭をどうしようかと。
姫さんは神官服をイメージで、頭は口元は隠す感じで、神官帽とベール。
流は、黒子の恰好にでもしようかと。」
「流以外は良さそうだけど。そういえば、女の子定番のセーラ服とか魔女系は?」
「余裕があれば、3姉妹ようにイメージを固めようかと。」
「そう。でも、そう考えると、流は色物ね。」
「全身タイツはいやだから。」
「そうね~。仮面をどくろか黒い鬼面にして、フード付き、
黒い袴に黒い道着にしなさい。
道着のしたは楔帷子で。」
「姫様、結構ガチですね。」
「ふふふっ。楽しむなら。とことんよ。流はその辺適当だから。」
「でしたね。」
「じゃあ。その方針で進めんぞ。」
「ええ、お願いヤク。私はこれの変身用コマンドを入れたら、
秋姉に魂を写してもらうは。そうだ。私の人形は倉庫?」
「そうですけど。使うんすか?」
「たまには家族に顔を見せないとね。それに。
そろそろ精霊でコントロールをしないと。」
「信さんと女神さんが大変ですものね。」
「そう。私が手を抜いても回らないと困るのよ。」
「了解。一応なんかあったら出動できるようしておきます。
空間の隔離をすれば局所的に封じ込めますし。」
「お願いよ。あまり、研究に没頭して、出動を忘れないでよ。」
「ふっ。ウィマム。」
「よいしょ、っと。じゃあ行くわ。早めにパワーアップ型の人形をお願い。
生徒用にも作らないといけないと思うから。」
「ああ、そうでした。信さんのと一緒に渡せるように、
職人を集めて作っておきます。
騎士系の奴なら、そう難しくないと思うので。あ、でも属性がわからないな。」
「メモを明日持ってくるから。基本の構築を進めておきなさい。」
「承りました~。」
そこまで言うと六花は工房を後にした。




