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女教師ミスをする

「あと、ちょっと。」


紅葉はコアを一気に引き抜こうとするが、

通路が入り組んでいるため、うまくいかない。


それどころか、繊細な作業が必要なため、

小腹どころではなく、再びお腹が減り始めた。


だが、途中でやめるわけにもいかず、

脂汗を書きながら、必死になってコアを引っ張っていた。


「っせーの!」


そういって、コアを地面に引っ張り出す。


だが、コアはどこにも見当たらない。


「キュー。」


ーばたんっー


そして、紅葉は腹が減りすぎて、そのまま目を回して倒れてしまった。


「えっ!?秋ちゃん!ちょっ!このタイミング!?」


「信幸さん!コアは?」


宮城は紅葉に駆けより、周囲を警戒し、

大野は次点でコアの場所を把握しているであろう信幸に質問をする。


「・・・。あそこだ。」


そういって、周囲の防壁の少し手前の空を指す。


そこには落下中の蔦に包まれた何かがあった。


「ギリ外に落ちそうだな。」


「任せてください。先輩。」


神戸のつぶやきに、富士がいち早く返事をし、風のような動きで

落下物に回り込むと思いっきり、剣の腹でみんなの方へと打ち入れた。


地面に当たると同時に蔦が砕け、それが姿を現した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「小僧どもやるではないか。」


それは顔こそ老齢のものだが、体はがっちりとした、

老人ボディービルダのような姿をしていた。


「だが・・・。我に勝てそうなものはいなさそうだな。

 引っ張り出されたときはどうしようかと思ったが、

 こもる必要もなかったな。

 どれ、始めはどれから喰ろうてやろうかな。」


そういうと、生徒の周囲の地面が、隆起し、突き刺そうと迫る。

だが、そこは、特注の依代、カツンっと音を立てて、意味をなさない。

本人たちにはチクッとした痛みがあったものの大事には至らなかった。


「ぬっ。硬いな。ではこれはどうだ。」


すると、人形がいくつか生まれ、襲い掛かる。

だが、そこはゴーレム戦を経たので、多対単で確実に処理していく。


「ふむ、致し方なし。」


「あれっ?秋ちゃん?」


紅葉をかばっていた神戸が、手に感触がなくなったのに気づき、

振り返るがそこに紅葉がいない。


「小娘。このものを探しているのか。」


そういうと、老人の前の地面から、紅葉が現れる。

やられたことをやり返した形だ。


「しまった。」


「ふふ。こやつから喰らうてやろう。」


そういって手を紅葉の頭に置き徐々に取り込むように土が移動する。


「秋ちゃん!」


「待て!」


助けに行こうとする生徒を信幸が止める。


「なぜです!」


名取が問いかけるがじっと紅葉の様子を見るだけで、何も答えない。

しかも、クリスと呼ばれた男やアンやレイも助けに動く気配がない。


そして、それは突然起きた。

紅葉の頭を包んだところで、目から下を包んでいた部分が砂に変わったのである。


「え?」


そして、老人の顔も苦しそうなものになる。

手を放そうと藻掻くが外れないのか

紅葉の頭がぐらぐらするだけで離れる気配がない。


しばらくすると、茶色く光るクリスタルが紅葉の頭の上まで移動し、

そして、光を失う。

すると老人も砂へと変わり、紅葉は支えを失い倒れそうになるが、

レイがそれを支える。


「やはりこうなったか。」


「どういうことです。」


「紅葉は食べ物だけでなく、自然界に存在するエネルギーなら吸収できるんだ。

 今回は、吸収しようとしたルートを使って逆に吸い取った形だな。

 エネルギーだけの存在には天敵となるわけだ。」


「なら最初から隙を見せていればよかったのでは。」


「生きたまま確保をしたかったのですよ。」


レイが紅葉を支えながら意図を説明する。


「精霊は自然を調整する存在です。土の精霊なら金属や大地の活力を担います。

 それを消したとなると、調整ができなくなり、

 すべての大地があの精霊の最後のように砂に変わる可能性があります。

 それは、我々の望むことではありません。

 だから、確保ないし更生が目的でした。

 ですが、彼は愚かにも、姫様を捕食しようとした。それが仇となったのです。

 まぁ。姫様がしっかりとお食事をすればよかった話なのですが。

 時間もなかったことですし、致し方ありません。

 このような結果は不本意ですが、六花様に連絡をして、

 代理の精霊を用意していただきましょう。」


そういって、眠る紅葉を優しく抱き上げた。


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