女教師の本気
朝日が昇り、それぞれが目を覚ます。
敵の集団は一旦下がり、昨日と同じ場所に陣取っていた。
案の定ゴーレムは復活し、損耗は回復しているようだ。
「解除。」
信幸がそういうと。大木は徐々に低くなり、
それぞれが、地面に足をついたところで、
玉になる。
「紅葉、二度も同じミスはするなよ。」
「わかってる。さて、始めますかね。『限定解除』。」
<軍団を確認。また、精霊種、魂魄系の敵性体を確認。
『限定解除』の申請を行います。>
紅葉の腕輪から、アナウンスが流れ終わると、
横の信幸の腕輪からアナウンスが流れる
<紅葉より、『限定解除』の申請が行われました。許可しますか。>
「許可だ。」
<許可承服しました。>
<・・・。3名の許可が下りました。『限定解除』します。>
すると、紅葉が白い炎に包まれる。
炎が消え、現れた姿は純白の胸当てに同じ模様の肩当て、そして籠手。
白いロングスカートに白銀に輝くバスターソードを下げていた。
「サラ!」
昨日と同じように両刃の剣を腕輪からだすと、同じように叫ぶ。
「『軍勢』!!」
昨日と違うのはその先だった。
「『清らかなる青き火。聖なる火となり、悪しき力を打ち砕け。聖火<青火>』!
そして、『白き火のごとく一輪の華、咲き乱れろ。百花繚乱<白火繚乱>』!」
紅葉が二つの呪文を唱える。
すると、すべての天使のような存在の武器に青い火が灯る。
「二度同じ失敗するのは馬鹿のすること。今日こそは殲滅する。
かかれ!」
そして、掲げていた、剣も天使の姿をとり、敵陣に向かう。
紅葉は腰に下げていたバスターソードを手に取り、そのあとを追う。
それは、正に神罰であった。
翼をもった女神が剣を振るい、紅葉もまた、
後光を背負い一振りで敵を行動不能にする。
そして、紅葉はさらに目を疑うことをした。
一切のブレーキをかけず、立体的な運動を光のごとく速さで行った。
意識を持っていた者たちは、この悪夢が早く終わることを祈りつつ、
剣を当てようと振るう。
その一方的な蹂躙は紅葉の独壇場で、ものの数分で終わった。
<敵性体の殲滅を確認。『限定解除』を再度封印します。ご利用は計画的に。>
そうアナウンスが入ると、赤い炎が紅葉を包むと、元の姿に戻る。
「ふ~。終わった~。」
紅葉は空を見上げながら、そうつぶやいた。
「サラ達は鎧と武器をはいで。
信兄は拘束と運搬用の台車の用意を!」
そういうと、レイとアンを呼び出し、
給仕をさせる横で、尻もちを着く。
近くまで来た信幸が紅葉に声をかける
「お疲れ。エネルギーの補給をするなら、これもやるよ。」
そういって、ドロップ缶と乾パン缶、カロリー〇イトを取り出し、紅葉に渡す。
「ありがとう。2重起動は厳しいわ。」
紅葉はもらったものを流し込むように食べ、
レイとアンが用意した、椅子にだらしがなく座る。
「あ~。お腹が減って、動きたくない。」
「姫様。今しばらくお待ちください。お肉料理を複数用意致します。」
「早めにお願い。」
そんな紅葉を遠目に、生徒たちは信幸の手伝いをしながら、
紅葉の様子を聞く。
「秋ちゃん。なんでだらけているんです。」
「あー。あれな。エネルギー不足に陥っているんだ。
俺たちの使う切り札系は何等かの条件が必要になるんだ。
俺なら、レアなアイテムや未知の知識。
紅葉なら、大量のエネルギーってな具合にな。
あーなると、日常にも支障をきたすから、
早急に大量の食事をしなければならない。
しばらく食えばもとに戻るから、さっさと、こいつらを捕縛しちゃおう。」
そういわれたので、黙々と捕縛作業をすることにした。




