青き火
「で。なんの会議?」
開口一番、流治は不機嫌に切り出す。
流治も厄介ごとを抱えているのは知っている。
今晩は関係者を家の道場に集めて、話し合いをしている。
「流治。魂にダメージを与えることができる火を教えてくれ。」
信幸は時間もないので本題を切り出す。
「すー。はぁ。秋姉。まさか忘れたの?」
「てへ。」
流治は大きなため息をつき、紅葉に質問する。
聞かれた紅葉はごまかし笑いをする。
「まあ。仕方がないか。基本使うことがないし、秋姉の根源を考えると
少し違うし。」
紅葉の根源は、進化、勇気、飛躍。
本来、生物が何百年とかけて、環境に適応するところを、
数日で達成させる力を与えたり、教え導く事が根源であり、
裁く、成長は信幸が司り、魂の浄化は六花が司るため専門外となる。
「で、教えてほしいと。」
「そうなるわね。」
「まあ。教えるのはいいけど。そうだね。少し勉強をしようか。」
「時間がないんだが。」
信幸は不機嫌に流治の提案に返す。
「まあ。まあ。必要なことだから。」
それを六花が諫める。
「では、始めるよ。
まず、魂とはからかな。
魂とは、純粋な魔素が一個人の思念と結びついて、形と意味を持った状態。
この世界には魔素が少ないけど、場と思念の強さ、
その場にいる人の感受性などによっては 見ることができたり、
写真に写すことがことができる。
この感受性もいろいろ種類があるわけだけど、それは今回関係ないから、
今度機会があればにしよう。
魂はその存在上、魔素という純粋なエネルギーが思念によって形を得ている
ということになるわけだ。
では、そのエネルギーの塊に打撃を与えるにはどうすればいいか。
いつもの秋姉なら、自分の高エネルギーの火で切ったりたたいたりすれば、
ある程度は燃やせる。
でも今回のような器も持つものはたいがい、
再生と高エネルギーに対するある程度の耐性や
そういった高エネルギーが魂に到達する前にを逃げるという思考を持っている。
では、そういったものに魂に直接ダメージを与えるにはどうするか。
分かるかな?」
生徒と紅葉は頭を抱えて、皆考える。
しばらくして信幸が答えを口にする。
「不純物のない純粋な高エネルギーによる攻撃。雷や光、闇がそれにあたる。」
「信兄の言う通り。では、秋姉の火ではどんなのがあるのか。
それは、完全燃焼の青い火。
人魂、鬼火、幽霊が青白く見えるのは、
構成しているエネルギーが純粋であるため、
完全燃焼しているように見えるから。
だから、同質である青い火であれば魂に直接ダメージが与えられるわけだ。」
「青い火であればいいことは分かったけど、使い方は?」
「2通り。いや、テスト中の方法も含めれば3通りかな。
まず一つ目。感覚的なものが必要だけど、赤から白へ。
そして、すべてを燃やし尽くすイメージで青白い火にできるけど、
燃焼のイメージが難しいかも。
次に二つ目。呪文。これは言葉の助けを借りて、
魔素を媒体に青い火を生み出す方法。
これは
『清らかなる青き火。聖なる火となり、悪しき力を打ち砕け。聖火<青火>』
で適正さえあれば発動できる。
ただし、秋姉の場合、火の属性が強すぎるから、限定解除しないと使えません。
で、三つ目。これ。」
そういって、流治は柄の目釘と目貫の部分に
透明な球状のものがははまった太刀をだした。
「普通の太刀じゃないの?」
「昔の漫画をヒントに作った属性剣。この球状のものに魔力を流しながら、
漢字1文字で表せる単語をいうと、その単語の能力が付与できる代物。
まだ、試験段階で、不安定な部分があるけど、色と属性なら、
問題なく動くことは実証済み。
まだ本数作っていないから、大切に使ってね。
あと、信兄用に、これ。属性だけ付与できるようにした魔法銃。
口径はないけど、通常の銃弾のスピードはでるようにはしたから。」
そういって、リボルバーを一丁信幸に渡す。
「サンキュー。」
「よし。次こそは。」
そういって、紅葉はぐっと鞘を握った。




