表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/160

姑息で卑怯な真似

「やはりこうなったか。」


そうつぶやく信幸の眼前には土でできた馬、大きなゴーレム、

どう見ても鍛冶職であろう、ゴーグルに腕だけムキムキ、

火で焼けたであろう目周り、

そして、耳も奇形になりかかっている人物たち。

遠くに城が見えるが、その前がなぜか荒野になっている。

草が全く生えていなく、どう見ても整地した後だった。


「これはどうしたもんかな。」


「この前見たいに木にするのは。」


「今回は無理だ。」


「あの魔法は術者が魔法陣の中央にいる必要があるのよ。」


大野の質問に信幸は端的に答えるが、紅葉が説明する。


「無理ですね。これ、ゴーレム作り放題とかですか。」


「いや、それは。」


「私と信兄でどうにかするわ。今も抑えているしね。」


「あの、えっと。秋ちゃん?えっ?」


「戦場になると人が変わるんだ。」


「「「「え~?!」」」」


「何よ?」


「いや、完全に別人では?」


「何言っているの?」


「いやいや。」


「諦めて、こういう生物だと思った方が精神的に楽だぞ。」


「はぁ。」


「何かしら、戦いづらい気配がする。」


紅葉が肩眉を上げて、そういう。


「勘、か。なら、気を付けるとするかな。よっと。」


紅葉の言葉を受け、信幸はどこからともなく、弓を取り出し、

符のついた矢を乱発する。


すると、着弾した場所から、木が急速生えてくる。


「す、すごいですね。」


「俺の属性だからな。さて、奴さんも動くだろうから、紅葉後は頼むわ。」


「わかっている。サラ!」


そういうと、紅葉の左手にかかとから腰ほどの長さの両刃の剣が現れる。


「『軍勢(レギオン)』!!」


紅葉が剣を両手で胸の前に掲げる。

すると、鎧をまとい様々な武器を持った天使のような存在が

大勢現れた。


「かかれ!」


剣を敵に向けてそう叫んだ。

そして、ある程度、間を空けて、自らも駆け出した。

それを見て信幸は


「しばらくすれば終わるだろう。」


そういって、馬車の屋上に上ると座り、本を読み始めた。

それをみて、生徒たちも屋上で観戦することにした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あれ?」


しばらく見ていた大野は不自然なことに気づいた。

明らかにゴーレムや土人形は減っているのに鍛冶師の集団が

未だに大量に残っている。

そして、何人かの天使が打ちあっているが、

そのうち、天使が離れ、近くのゴーレムへと向かう。


「なんで倒れない?」


大野はぼそりと、つぶやく。

それを聞いた信幸が戦場に目を向ける。

怪訝な顔で、戦場を凝視する。

しばらくすると、ゴーレムと土人形を打ち終わった

紅葉と天使が慌てるように引き返してきた。


「信兄!あれ無理。あれは無理!」


「どうした!」


「あいつら、奪った魂を使って生きた防具と武器を作ってそれを着ている!」


「はぁー!!」


「打ち込みづらいし、傷は修復するし、装備者が気絶しても動くし、

 燃やすわけにもいかないし、無理!

 あれ絶対人質にしているし。肉壁扱いよ。」


そんな、やり取りをしている間に集団が近づいてくる。


「ちっ!全員降りろ!」


そう叫んで全員を降ろすと、馬車をしまい、

何かを地面に投げつけた。

すると、何本もの太い蔦がムクムクと生え、

そして絡まりあい、信幸や生徒たち、紅葉を持ち上げ、

さらに大きくなり、大樹のような姿へと形を変えた。


その頂上で、皆が落ち着くのを待ち、信幸が紅葉に尋ねる。


「お前、魂だけ焼くことはできないのかよ。」


「え!?え~と。使えません。使い方がわからないの、

 前に一度使ったと思うのだけど、使い方がわからなくて。」


紅葉は首を垂れて答える。


「ふー。あいつに聞いてみるか。」


そういって、六花に家族会議のお願いを出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ