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そこは幻想の町

馬車がビエツの検問所の門へと辿り着いた。

先ほどの様子を見ていた衛兵や商人たちは畏怖の目で紅葉達を見る。


「この国へはどのようなご用件で。」


「テンクル王国からビエツ王への使者として来たわ。」


そういった紅葉に合わせて、信幸が王家の封蝋がされた封筒を出す。


「正式な使者ということですか・・・。では、身分証を。」


言われて全員分のカードを渡す。対応した衛兵は奥へと行き、

しばらくして、戻ってきた。


「どうも、あり」


そういってカードを返そうとした衛兵がぼろぼろと崩れる。


「きゃーあ!!」


それを見ていた住人が悲鳴をあげる。


「信兄?これって。」


「なめられたもんだな。この程度の傀儡で俺をだませると思っているとは。」


しばらくするとカードもぼろぼろとくずれていく。

それを呆然とながめる兵士と、まるで幽鬼のように馬車へと近づく住民とで

反応が分かれた。


「ねぇ。結構な騒ぎになりそうなんだけど。」


「まぁ。見ていろ。顕現。守護する方位へ散れ。」


信幸がそういうと、腕輪から光が飛び立つ。


「カードは!?」


「後で回収をする。とりあえずこの町の中央に行くぞ!」


そういうが早いか信幸は馬車を飛ばす。

屋上にいた生徒があまりのスピードに慌てて手すりをつかむ。


「これってどういうこと!?」


「土の精が作った人形だろうよ。住人を入れ替えて、

 大方、自分の国にでもするつもりだったんだろうよ。」


中央に向かう連れて、生気のない目をした人間が

わらわらと現れ、道をふさごうとする。

しかし、信幸はお構いなしに馬車を走らせようとする。


「ちっ!面倒な!『迅雷』!」


信幸が術を発動する。

すると、馬と馬車が稲妻のように、駆け抜ける。


「ちょっ!みんな伏せていなさい!」


紅葉は術の余波を受けないように生徒に伏せるように忠告する。

信幸の術のおかげか町の中央広場へはあっという間に到着した。


「呪よ樹となりて恵に変われ『解呪。(改樹)』!」


信幸がそう宣言すると、町の周囲を包むように光が立ち、

町の中央に向かって光の奔流が発生する。

すると、人形と思われる存在は木に変わり、町を彩り始める。

しかし、それだけにとどまらず、蔦が家々に絡みつき始める。


「ねぇ。信兄。やりすぎでない。」


「あぁ。やりすぎたな。ここまで、呪いが多いと思わなかった。」


「姫様。カードです。」


紅葉の武具の一人のキョウがいつの間にかそばに来て、カードを渡す。


「ありがとう。さすがね。」


「勿体ないお言葉。では。」


そういって、籠手へと変化し、紅葉の腕輪へと戻った。


「いつの間に。」


「信兄が馬車を走らせる寸前に出てくれたみたい。にしてもどうするの。

 急に目の前で旦那や奥さん、親が木に変わった人もいるみたいだけど。」


紅葉は周囲を見回しながら、そういう。


「ある意味幻想から覚めた感じかな。

 しかし、おそらく、元になった人物たちはまだ近くにいるはずだ。」


「どうして?」


「人を思い通りに動かすには、人質を取るか、洗脳するかだ。」


「なるほど、人形にしていない方の人を人質に操るわけ。」


「でだ、恐らくだが。場所は・・・。あっちだな。」


そういって、信幸は町の北側の山を見据える。


「でしょうね。」


そういって紅葉も同様に見据える。

信幸は呪いを解除したときに、

紅葉は大地から感じる邪気から、

ともに諸悪の根源がいるであろう場所を特定していた。

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