教師は女神を説教す
真っ白な場所に紅葉達は膝をおって座っていた。
<ようこそ異世界の勇者よ。>
絶世の美少女ととれる人物が紅葉達の目の前に現れた。
<今からあなた方は私の世界に召喚されます。
そこで選別として、私からあなた方に力を、>
「不要よ。」
<えっ?何を。>
「あ、秋ちゃん先生。何で?力をくれるって言っているのに。」
「力をもらえば元の世界に戻れるなくなるの。」
「えっ?どういうこと?」
「ふっ。説明してあげたら?女神様。
あなたの不始末を他の世界の住人に押し付けた挙句。
あなた方は向こうの世界で死ぬまで働いてもらいますって。」
<どうしてそれを。あっ。>
女神はうっかり紅葉の言葉が真実であることを認めてしまった。
「知り合いにね。管理者がいてね。その人に教えてもらったの。
異界にいくとき、神と名乗るものにものをもらうなって。
そうしないと元の世界に戻れなくなるって。」
<どちらにしろ元の世界には戻れないわ!
だって元の世界に戻す方法を彼らには教えていないもの!
さあ!選びなさい。力を受け取り私に従うか。
もらわずに世界を渡り簡単に死ぬか。
あなた方の世界と違い、魔法という科学では説明がつかない力がある世界で
生きていけると思うの。>
「ねぇ。私の話を聞いていた。知り合いに管理者がいるの。」
<えっ?それって・・・。えっ?>
女神は困惑したように頭を押さえてうろたえる。
<一リソースに過ぎない生物が管理者と親しい?それって。えっ?
だって、使徒の気配は・・・。それにそんな力を持つものは引っ張らないはず。>
「皆。クリスを残して戻りなさい。」
「「「はい。姫様。」」」
生徒たちを守っていた紅葉の従者は腕輪へと消える。
<なっ。神具。そんな!じゃああなたは。いえ!あなた様は!>
「一つ聞くわ。あなた以外にも管理者の権限を持つものは?」
<い、いえ。私一人です。>
「そう。なら。」
そういって、紅葉は自分の胸に右手をかざし、何かを引きずり出す。
しばらくすると大きな青白い炎をまとったバスターソードが現れる。
<ひっ。そ、それは。>
「おいたが過ぎる子にはお仕置きが必要よね。」
<や、やめ。そんなことをすればこの世界は!>
「うん。知っている。だからね。」
そういって。紅葉は女神に向けて剣を一閃した。
<あ、あれ?なんとも・・・。あっ。そ、そんな。>
「力の行使の制限を付けた。神託は私にだけ、召喚の補佐も封印、神罰も制限。
この意味わかるよね。」
<は、はい。>
「反省なさい。あと、元の世界に戻る方法だけど。
知り合いの管理者がどうにかするわ。私が巻き込まれた時点でね。」
<そんなこと。>
「できるのよ。あの子はね。さて、みんな大丈夫?」
「先生は何者ですか。」
「そうね。昔勇者だった女性、かな?まあ、そのことはおいおいね。
皆には召喚先の世界でも戦う力を私からあげるわ。お古だけどね。」
そういって、紅葉は一人づつに腕輪を渡していく。
「これは非生物をしまえる腕輪。今、中には剣が入っているけど。
それは向こうの世界についたら、教えてあげる。
あと、その腕輪は私と所有者以外は外せないし、使えないから。
他人の物を盗まないように。まあ、そんな子はいないか。あとは、」
そういって、紅葉は再び女神に向き直り、抱きしめた。
そして、小さな声で囁いた。
「あなたが、世界の維持のために、頑張っているのはわかる。
でも、奥の手を使って、リソースを補填するのはいただけないわ。
留まっているリソースは回収するのは手伝うわ。
だから、苦しまないで、私たちが助けてあげる。」
それを聞いた女神はぽろぽろと涙を流した。
生まれたときから、世界を管理する力と知識を持ち、
たった一人で頑張り続けて、初めてかけられた言葉に
子供のように泣きじゃくった。
それを紅葉は優しく頭をなでて慰める。
「落ち着いた?」
女神は無言でうなずく。
「じゃあ、行くわ。あなたは向こうの世界でなんて呼ばれているの?」
<セレス。>
「セレス。いい名前ね。さて、お願いするわ。また、お話しましょう。」
<うん!>
セレスは大きくうなずくと、手をかざし、紅葉たちを召喚された場所へ送った。