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女神の言い訳

ーバンッ!ー


「セレス!」


ームグッ!ー


勢いよく食堂へと入ってきた紅葉にセレスは驚き、

口にしていたパンケーキをのどに詰まらせてしまった。


「あっ。ごめん。」


背中をたたきながら、紅葉は謝り、セレスが落ち着くのを待つ。


そして対面に座り、不満げな顔でセレスを見る。

その横に六花が座り、口を開く。


「さっき、この世界でも地位が高い人に

この世界の神々について聞いてきたんだけど、

 あなた、なんで自分の子飼いのシステムを使って世界を調整していないの?」


ーギクッ!ー


その言葉を聞いてセレスはしまったという顔をする。

確かに、紅葉お姉さまを召喚した際に、一方的に要望を突きつけ、

かつ、一方的に怒られたため、世界の仕組みを説明しなかった。

その後も聞かれなかったので、説明はしていない。


セレスは今さら説明できるはずもない。

『システムのリソースの半分が食べられている』など。


「黙ってたらわからないんですけど。」


とんとんと紅葉が机をたたく。


「そ、それは・・・。ごめんなさい。説明をしていませんでした。

 じ、実はですね。半分ほど食べられてしまいまして、

 システムは現在休止しています。」


「うん?でも神は存在しているから・・・。なるほど、

 リソースを半分だけ食われた段階で隠れてもらっているわけね。」


「最悪は免れているわけね。」


「というか、システムがなくなっているなら、

 私じゃなくて、どっかで流が呼ばれるでしょうよ。」


「それもそうね。」


「えっと~。」


「あ、あぁ、こっちの話よ。てことは、各システムにリソースが戻れば、

 再度の安定とバグの確認はできるのね。」


「ええと。おそらく大丈夫です。ですが、」


「そうね。根本をたたかないとリソースの上限はあるし、

 また食べられたらもともこもないものね。」


「はぁ~。直接本拠地を叩いて終わりにしたかったけど、しょうがないか。

 各地の神殿なり、祠なりをめぐる聖地巡礼をしながらいかないと、

 だめってことね。」


「それと、リソースを補填できるなにかをもっていかないとだめね。」


「そんなのあるの?」


「う~ん。セレス、リソースの余剰はまだある?」


「この間少しだけリソースが増えたんですけど、それでもシステム一つ分しか。」


「上等よ。とりあえずそれと、私たち二人のリソースを貸す形で。

 秋姉、これで、私たちの余剰リソースをつないで、システムに分けて。」


そういって、六花は鏡を取り出し、紅葉にわたす。


「まあ、そのぐらいなら大丈夫かな。これを媒体にして譲渡すればいいのね。」


「私たちのリソースには下限値には制限がかかっているから

 取られすぎることはないわ。

 ただし、秋姉。」


「な、なにかな。」


「リソースを取りすぎないでよ。」


「自分のリソースは最後に使うことにします。」


六花ににらまれた紅葉は自分の能力の特性を思い出し、そう答えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ところ変わって、中庭、そこでは魔法の訓練が行われていた。


「さて、皆さんはその体に限って魔法が使えるようになりました。」


マリーが六花に変わり、生徒たちに魔法の使い方を教えることになった。

サポートとして、エルが付き、使い方を説明する。


「今日は、自分の中の魔素と周囲の魔素を感じる訓練をします。

 まず、正座をして、目をつぶります。そして、自分の中心、

 胸の真ん中または丹田に意識を向けます。意識をしつつ、

 両手のひらにその中心から、力を引っ張るイメージをします。」


生徒たちは言われるがままに、やってみる。

すると各自の周囲で風や雷、炎といったものが発生する。


それを確認して、マリーは手を叩く。


「はーい。皆さん上出来です。では次に周りの魔素を感じてみましょう。

 今度は難しいよ。何せ、目に見えない、理解しずらいものだからね。

 みんなー、立って手を前にこんな感じで伸ばして。」


両掌が真正面にくるようにまっすぐ腕を伸ばす。


「そしたら、こう。周りの空気をその手のひらに集めるイメージをしてみて。」


しばらくマリーは様子を見る。だが、さっきと違い、何も現れない。


「う~ん。どうしたものか。」


「こうすればいいのよ。」


そういって、エルが左手を一閃する。すると、さきほどと同じように

各自の周囲で風や雷、炎といったものが一瞬発生する。


「集めきれていないから、事象が発生しない。なら、ね。」


「なるほど。濃度を濃くすればよかったんだ。」


その言葉を聞いて、生徒たちも納得する。

そして、もっと勢いよく、そして多く集めるイメージをする。

すると、持続して、各自の周囲で風や雷、炎といったものが発生し続ける。


マリーはその様子を見て安堵し、生徒たちは魔法が使えたことに大喜びをした。

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