包囲殲滅戦⑤
<そのへんだ。>
「でしょうね。」
日野の前には骸骨の兵の軍団が待ち構えていた。
「来たな小娘。なめた真似を。一人づつ縊り殺してくれる。
この方法だけは使いたくなかった・・・。ぐぇ!」
「長い!」
<だな。>
「っと!」
包囲の合間をぬって、切りかかり、一撃をいれるが、
包囲されて周囲から剣戟をあびる。
「くっ。やってくれる。だが、ここにはお前らに殺されたものが多くいる。
その恨みを受けるがいい。」
「く~。小物のくせに。」
食らった一撃で鼻血をだしながらも強がる男へ、
日野は骸骨の兵に反撃をしながら進もうとするが、
遅々として進まない。
「くくく。ふふふ。はははは。そーらもっと増えるぞ。」
「ちょっとー。」
必死になって避けていると急に骸骨が崩れ始める。
「へ?」
「な、に?」
<策士策に溺れるとはこのことだな。>
小さな子供の骸骨がナイフを握り、
男の背後から胸を一突きしていた。
日野からは影になり、最初は何が起きたのかわからなかったが、
男が崩れ落ち、それにのりかかるように倒れたことで、
始めて気づいた。
エンデは反応が重なったことで、気づいていた。
「エンデさんどうします。」
<まだ、死んで間もないから、回収して、後で蘇生させる。>
「でも、どうしてあの骸骨は術者を指したんですか?」
<戻ってきたら話そう。>
そう言われ、日野は皆のところへ走って戻る。
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「さて、戻って来たな。では話そう。」
「はじめはそうですね。なぜ術者に逆らったんですか?」
「いいや逆らったわけではない。奴も行っただろう。
『ここにはお前らに殺されたものが多くいる。
その恨みを受けるがいい。』と。」
「それだと、俺らを襲うはずでは?」
「あの術者はある一定の場に存在する遺体を、
操るのではなく、どちらかというと起こしているだけだ。
遺体を動かしているのは残留思念だ。」
「へ?ネクロマンサーってしたいを人形のように操るものでは?」
「実際それは難しいと言わざる負えない。
まず、死体に動けるだけの力場を纏わせる。
その後、操作もしくは命令で動かす。」
「それって、2つの魔法ってことですか。」
「その通りだ。この世界で、それをできる人間はいないだろうよ。」
「それであの子は術者に恨みがあったってことですね。」
「生贄になった子供の一人だろうよ。」
「ああ。なるほどです。手当たり次第に死体を動かしたら、
そういった死体も1体くらいありますよね。」
「ああ。ある程度でやめればよかったのにな。」




