包囲殲滅戦④
「えっ?ここですか。」
<そうだぞ。どうした?>
日野の目の前には枯れた大地が広がっている。
「いや隠れる場所ないですよ。」
<ばかな。そこにいるはずだ。上と下もチェックしてくれ。>
「上ですか~。」
そう言って、日野が上を見ると土のドームが広がっている。
「下は~。う~ん。面倒。」
そう言って、日野はデカい水球を生み出し、
平面にすると、1cm大の雨を降らせる。
その勢いはすさまじく、地面をえぐっていく。
「いててててて。」
「発見!」
地面に潜り、やり過ごそうとしたのか、
比較的浅いところから、飛び出てくる。
「くっ。見つからないと思ったんだな。」
「いや、擬態するならともかく、無理でしょう。」
そう言いながら、飛び掛かって、切りかかる。
「くそがっ。」
ーガッ!ー
「うん?」
人の肌とは思えない、硬い音がし、剣がはじかれた。
「なるほど、この魔法を抜けないのか。」
「うーん。面倒。」
<日野。切りかかって殺すなよ。>
「あっ。そうだった。えい。」
日野がそう言って、さっき生み出した水球を相手の斜め後方から落とし、
包み込む。
「がぼ、がぼ。」
もがきながら、外に出ようとするが、なぜか水球の中心へと戻される。
「がっぼ。」
5分ほどたつと、気絶する。
「一丁上がりました。」
<よくやった。一度中央まで戻って来てくれ。
反対側にに逃げた奴も今は動いていない。
隠れているのは確かだ。>
「わかりました。」
男が黒い穴に落ちたのを確認して、
日野は振り返り、中央に向かって走り出した。
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「お疲れさま。」
「いいえ。そんなでも・・・。」
「確かにな。思ったより、相性がよかったな。」
「あと一人ですよね。」
「ああ。あっちの方にいる。
思い返せば、一番逃げる判断が速かったな。」
「じゃあ。戦いがいがありますかね。」
「どうだろうな。お前らに比べても、この世界の魔法は弱いからな。」
「行ってみればわかりますよ。また、案内をお願いします。」
「あいよ。」
日野はそう言って、準備運動をする。
「俺らが行っても良いだぜ。」
「今更~。」
富士の一言に、そう返し、クラウチングスタートの姿勢をとる。
「じゃあ、行きます。」
「応。頑張れ。」
そう言って、みんなで送り出す。




