包囲捕縛戦①
「ここがアジトらしい。」
「えっ?でもここって?」
「元総本山。そして流治がブチ切れて破壊した場所だ。」
建物が壊れ、瓦礫が山の様に積みあがっていた。
「でも、人が住めるような場所は・・・。」
「そうなんだよな。地盤が壊れているから、穴を掘れば、
崩れるはずなんだが。」
「え?でも魔法があるから・・・。」
宮城が魔法があるから、無理やり穴を掘れるはずだと口にする。
「まぁ。普通ならな。流治が壊すために使った魔法は
『無』か『死』のはずだ。」
「それが、流治さんの属性なんですか?」
「いや、『属性』ではなく『概念』だ。
ああそうか。ゲームや小説はそう書いているな。
だが、よく考えろ、魔法はイメージだ。
それは過程、触媒、必要なエネルギーが明確に
イメージできればできるほど、確実に発現する。
たとえ、それが自分に不向きな『属性』であってもだ。」
「え?でも、秋ちゃんが・・・。」
名取が、そう言いよどむが、エンデは首をふる。
「ま、基本は属性でもいいんだ。
理由は、そう思い込ますことによる一つの制限だ。
もう一つはそれが分かるのは技術と魔法が発展した世界。
だが・・・。」
「なんとなくわかります。力の暴走ですか?」
富士がそう聞く。
「そうだ。その理屈を理解したものは自らを神と勘違いし、
力を暴走させ、壊滅的な被害を周囲に及ぼす。」
「なるほどです。」
大野が頷く。
「さてっと。生命反応が多数。お前ら。」
「わかっています。」
そう名取が答えると、晴天なのに、雷が落ちる。
「ほー。秋が教えている割には制御がきれいだな。」
「残念ですが、信さんです。」
「ふっ。そうか。」
ーキンッー
名取以外の生徒が襲撃者の剣と打ち合う。
名取は触れた相手が感電し、気絶する。
「ふっ。さすがだな。」
「アースウォール!」
大野が襲撃者を吹き飛ばすように、
土壁を発生させる。
「ナイス!ウインドニードル!」
日野が襲撃者の肩口を狙って、ウインドニードルを放つ。
「馬鹿め!ポイズンフォグ!」
襲撃者は目隠しをするように毒の霧を発生し、
離脱をする。
「サイクロン!」
日野はそれを竜巻を発生させて、散らす。
「面倒!魔法がイメージなら。ローズソーン!」
宮城が地面に手を着きそう唱える。
「ぎゃあー。」
「ふふふ。あははは。それは考えたな。
バラの蔦か。」
「鉄条網をイメージしましたけどね。」
「それは傑作だ。が。逃げたか。」
エンデが空を見上げながら、そうつぶやく。
「でも、いますよね。結構な人数が。」
そう大月に言われたエンデは、ニヤリと笑った。




