法治国家のありかた
肥え太った者たちが玉座の間で
縛られながら喚き散らしている。
それを見て紅葉は頭を抱えた。
いっそ、制圧時に死んでくれれば、
裁く手間が省けたものをと。
覚悟もなく、カリスマもなく、武力もない。
何がしたかったのか。
頭が弱いのか、意思が弱いのか、力が弱いのか。
何で反乱を起こそうと思ったのか。
「取り敢えずお前は黙れ!」
「ひぃ!!」
そう言って、一番うるさかったどこかの公爵の頭を燃やした。
「姫様・・・。」
「姫・・・。」
脇で見ていたマリーとルーシーがあきれた顔で見る。
再び額に手を当てて、連れてきた部隊長に問いかける。
「で、どうしたいの、これらを。」
「法治国家であるならば、法に則り裁くべきだと思います。
それが、近代化の第一歩だと考えるからです。」
それを聞いた紅葉はその男の顔をまじまじと見た。
「なんでしょうか。」
「いいえ。まるで六花や信兄みたいなことをいうなと思って。
そう、そうよね。殺すだけなら誰にでもできるものね。
法に則り、裁き、それを民衆に示すことが重要よね。
はぁ~。マリー。」
「はい。」
呼ばれたマリーが一歩前に進み、紅葉に向き直る。
「この場合は絞首刑?それとも磔刑?」
「国家騒乱罪ですが、今回は民衆に影響はほぼありませんでした。
よって、斬首刑のち、首をさらすのがよろしいかと。」
「人数が多いから、腐臭が漂うわ。」
「でしたら、見せしめにトップだけに刑を実行。
共犯のものは最下級の兵士、メイド、小間使いとして働かせ、
模範的人間は重用するのがよろしいかと。
現状人手がたりないですので。」
「そう、そうね。あなたはどう思う。」
問われた男は首肯し、肯定の意を示す。
そのやり取りを見ていた貴族たちは顔を青ざめさせ、
再び震えながら、罪を擦り合い始めた。
それを紅葉はため息をつき、肘をついて眺める。
そして、ふと思い出し、部隊長の男に問いかける。
「こいつらに暴動を煽った奴らは?」
「そちらは大した罪に問えないかと思い、暗部に引き継ぎました。」
(引き渡したではなく引き継いだね。)
紅葉はその報告に心の中でこれ以上厄介なことが起きなければと思った。
「ああそうだ。こいつらの領地はとりあえず、各部隊長で治めなさい。」
その言葉に驚愕の顔を紅葉に向けるが、玉座の3人に冷たい目で見られて、
ため息を着いて首肯をした。




