帳尻は?
「で、終わった?」
<どうにかな。>
<大変だったよ~。>
ソファーに足を組み、肘をついて座りながら3姉妹とエンデの報告を聞く。
「万が一、億に一もないとは思うけど、
この世界からリソースが奪われることは?」
<継続して、隔離をしている。
リソースが他世界に流れ出ることはない。
あぁ、1週間もすれば気づくやつらはいるだろう。
が、そういうやつらはうまいこと、
この世界のリソースに変えてやるよ。>
<流兄がいるとその作業も楽なんだけどね。
あぁ、後やっと、調査結果がでたの。
なんで、あの剣道場に召喚陣が発動したのか。>
「名取が勇者候補で勇者の仲間になるメンツがそろっていたから?」
<それもあるけどな。いくつかの魔法陣を解析して分かったのは、
今回のやつらが魔法陣を提供したと考えられるものは、
世界を指定するコマンドが入力されていた。
その世界を指定する文字列は魔法陣の一番外側の最後になっていて、
ブランクにするとランダムな世界を指定するようになっていた。
わざとかわ聞かんとわからんが、何かを感じて、その部分をブランクにして
あの王国に教えたのか。もしくは、あれがオリジナルだったか。
今となっては分からん。魔法陣はすべて撤去したしな。>
<今後はセレスちゃんが一人で頑張るしかなくなったけど、
当分は秋姉がサポートを続けるんでしょ?>
<というか、俺らがだな。>
<え~私達は嫌よ、あの世界で手一杯。>
「何言ってるのよ。あの世界はもう成熟して、管理はいらないでしょ。」
<残念、ある程度のシナリオはまだ私達が描いているんです。>
「あら?そうだったの。それはぞっとするわね。まあ、それはいいわ。
とりあえず、リソースの帳尻はどうなった?」
<ああ。うんと。えーと。あっこれだ。うん。取られた80%程度は回収。
あと、商業神と武神から回収したリソースで補填したから、
運営するためのリソースについては問題はなし。
ただし、20%分のとられたリソースの回収は今後しだいかな。
うまく逃げ隠れたのか、ランダムな世界線の召喚だったのか。
とりあえず、どうにか帳尻はあったということで。>
「リソースの問題は解決っか。
私は属国の処理と面倒な2国の対応が残ってる。
六花と流治からはもう少しかかると言われたし。
ああ、面倒ね。」
<あの島はとりあえず落ち着いたら、
どこか別の場所に引き上げたほうがいいカモな。
瘴気や邪気が空気に交じりすぎてる。>
「それは本当に最終手段。この世界で有効活用できるにこしたことは
ないもの。」
そう言いながら、紅葉はソファから立つとベランダにでて、
縁に手をついて遠くを眺めた。




