神の戦いは人知れず
「はい。ご苦労様。」
その声は広い部屋に良く響いた。
そして、魔法陣の真上の天井がひび割れたかと思うと黒髪の”少年”が
降りてきた。
「おお。神ですか?!」
「いいや。俺は神ではない。」
「そのようなことができるのに?では?」
「お前たちを”殺す”ものだ。」
そう言われて、自然と全員が距離をとる。
そして、その中の一人が叫びながら飛び掛かった。
「ガキがっ!しっ、ぐっ!」
ガキと叫んだ男はまるで地面を猛スピードでスライドするように壁に激突した。
それを見た残った全員は、唖然とした顔で吹き飛ばされた男を見たのち、
その表情のまま少年を見た。
「おっと。つい、カッとなってしまった。私は”ガキ”ではないのだよ。
”ガキ”では。君たちと同じぐらいか、年上でね。
人種的なものなのか、若く見られる。言葉には気を付けてくれ。」
<エンデ。予定変更。そいつらを生贄に今回の加害者の管理者を召喚して、
リソースをこの世界に回収させるわ。
この世界の外側にもう来ているらしいから、
その場のリソースで足りるはずよ。>
(はぁー。その方針になったか。了解した。)
黒髪の少年ことエンデはその報告を聞くと、魔法陣に手を置き、
一部を書き換える。
そして、魔法陣を発動させる。
「なっ。どうや、って・・・。」
エンデ以外の全員が膝を着き、そして、そのまま、眠るように倒れると、
徐々に干からびる。
「これで、ゲートが開くはず。」
そうエンデがつぶやくと、魔法陣を中心に円柱の光の柱が立ち上る。
<ゲートを確認。せーの。うりゃ。>
「ぐえっ。」
「うおっ。」
「いたっ。」
「おっとっと。」
その光からはじき飛ばされるように4人の男女が出てくる。
「ようこそ、管理者の諸君。
私の世界では君たちのような者たちは犯罪者というのだが、
その認識はあるかな?」
「はっ。誰だか知らないが、管理者たる我々に、説教をするか。」
「ふうぅ。」
エンデはやれやれと首をふると、右手で指を鳴らした。
すると、グラマスな女性の体が消え、頭だけとなり、
床に転がった。
「なっ。魔法や物理攻撃は聞かないはず。エネルギーが喪失しなければ、
消えることなはないはずだ。ましてや、体の一部が消えるなんて。」
「お。自分のことは良くご存じだ。」
「きさま!」
激高した一人が、つかみかかろうとするが、
再びエンデが指をならすと、動きが止まる。
<なにが!>
「なんだろうな。」
<声が、聞こえない?>
4人の顔が驚きに変わった。




