女王として
「えーっと。外交は・・・。」
紅葉は自分の部隊のメンバーの中から適材適所を考える。
何せ、貴族はほぼ処刑した上に残ったものたちは
名ばかりの役職で腐っていた者たち。
能力の把握もできていないのに役職を割り当てられない。
取り敢えずの組織を構築し、運営をしなければ、国が回らない。
特に外交と内政については一刻の猶予も余談もゆるされない。
取り敢えず、紅葉直轄の部隊が国境と警邏を行い、
不正や不法入国を防止していた。
内乱の気は王子の件で下火になり、基本的な規範を暫定的な法として、
犯罪のみ信幸の部隊が裁いて回っていた。
「だー。何よこの税務判定調査官って。税務管と同じじゃない。
ちょろまかす奴は一族そろってちょろまかすんだから。
判定もくそもないでしょうにー!
それにこいつら、適当な税をでっちあげて巻き上げてるじゃない!
馬鹿な私でも税制がなってないってわかるわよ!」
紅葉は短い期間とはいえ国政を預かった身。
それに、軍団長としての歴は長い。
それなりに、国政のあり方、税制の立て方、外交のあり方を見聞きして、
自分なりの王のイメージを持っていた。
この国がどれだけ商業神の言いなりで、行き当たりばったりな法と
王の気分による税制と人事が行われていたかが分かり、
紅葉は頭を掻きむしって吠える。
「あー。こりゃだめだな。」
「うー。信兄さん。無理。もー。無理。
私が立法とか税制とか制度作りなんて無理。
判定はできてもイチからなんて、むーりー。人事だけだと思ったのにー。
法や税制に紐づいた変な組織にだれをアサインするのよー。」
机に突っ伏しながら、子供に退行したように泣きじゃくる。
「おー。こんな秋ちゃん珍しいかも。」
「教頭に無理難題を言われても、どうにかこなしていたのに。」
「まー。生徒の俺らには手伝えないけどな。」
名取、宮城、神戸が執務室のソファーに座りながら、受験勉強をしている。
他の生徒たちは修行のために、応援依頼のあった地域に出張している。
「どうすっかな。法はどうにかできるんだが、税制はなー。
風土やら歴史やら、特産やらいろいろとあるからなー。」
「うー。美幸ちゃんを呼ぼう。」
「美幸かー。まー。適任と言えば適任か。」
「美幸さん?ですか。」
宮城が不思議そうに聞く。
「そう。なんていうかな。ありとあらゆる物語を知る
もう一人の六花ってとこかな。」
「ほへー。」
信幸の簡潔な説明に、なんかすごそうという感想を3人はもった。




