戦い終わって
青い炎が風と砂にかき消されると、
素っ裸になった王子がやけどもない姿で倒れていた。
「終わりましたね。」
「どうにかね。今回は不殺をどうにか達成できたかな。
いつもだと、全部燃やしちゃうしね。」
近づいてきたサラにそう返しながら、紅葉は安堵の表情をする。
すると、金属の輪が王子の四肢と胴体を地面に固定する。
「今回は力の制御ができたようだな。」
拘束を施した信幸が地面から生えるように現れる。
「どうも神殺しの炎がうまいこと作用してくれたみたい。」
そういいながら、紅葉はキョウと勇を人形に戻しながら、
自らの鎧も消していく。
「それほど神の力の影響を受けていたというところか。」
「自分の意識なのか、神の思惑なのか判断がつかなかったでしょうね。」
肩や腰の砂を払いながら、王子の様子を説明する。
「ま、そういう薬だろうしな。
あとは、こいつを含めた奴らを公開処刑すれば終わり、だな。
神の力を使った、その代償と考えるなら安いものだな。」
「輪廻には帰れるだろうしね。」
ーお姉さま。それなんですが・・・。ー
セレスから念話が届く。
「セレス。そっちは大丈夫?」
ーはい。まだまだですが。ー
「何か問題が?」
ーその王子の魂は輪廻には行けないかもしれません。ー
「そうか。そこまで、神の力になじみすぎたか。」
ー信幸さん。ご明察です。元の魂が摩耗し、変質しています。ー
「そう。でも、しょうがないわね。王の方は。」
ーそちらは変質をしましたが、魔獣に近い変質のため、問題はないかと。ー
「それを聞いて安心したわ。ま、見せしめになってもらいましょう。」
ーあっ。流治さん?ー
ー俺が処刑日に影に潜んで回収しようか?ー
「そうね。」
紅葉は信幸と目でしばらく会話をする。
「お願いするわ。こちらの総意よ。日程が決まり次第お願い。」
ー了解だ。ー
それが最後にセレスと流治からの念話が切れる気配がする。
「はー。準備しなきゃな。」
「そうね。」
信幸と紅葉は天を仰いでため息をこぼした。
そんな二人を生徒たちは木の上から、いつおろしてもらえるのかと、
ただひたすら待ち続けた。
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会場を元に戻し、暴れたものの中で、貴族と王族をまとめて、
信幸の作った金属の檻にいれ、広場に放置する。
「あれでいいですか?」
神戸が信幸問いかける。
「まぁ。普通なら、厳重な警備をしくのだが、
今回は口封じの心配はないし、見せしめだからな。」
そう言って、城のベランダから広場の様子を眺める。
その後ろで、紅葉がアン達とともに書類と格闘をする。
「秋ちゃんも可哀そうに。」
「たまには頑張ってもらわんとな。」




