神の鉄槌①
「これだけいれば!」
「あくまで抵抗するのね。」
「この場で貴様を倒せば、民は服従するだろう!」
「そう。そうね。やってみなさいな。」
そう言った紅葉に王子はその獣の顔をニヤリと歪ませる。
その顔に怪訝な顔をしつつも、剣を振るう。
「飛炎!」
「おっと!ふん!いいのか私を倒して。
我の命で暴れているのだぞ。」
「だから。尚の事早く倒さなければ。っね!」
突撃してきた獣を叩斬る。
吹き飛ばされながら青白い炎に焼かれたかと思うと、
鎮火した後には人の姿が現れる。
それをいぶかし気な顔で王子は見ると、その人間に対して、
近くの獣を数体向かわせる。
獣まみれになったかと思うと獣が増える。
「なる、ほど?初手に失敗した?」
<なるほどな。感染か。対処する。
それにしても、神の力の使い方が違うだけでこれだけ違うか。
エルフの里のときに近い使い方だな。>
「あの王は。獣神の力を引き出した。
こちらは商業神ね。厄介すぎる。聖火を使う?」
<そう、だな。結界を強化する。
しばらく待て。その間に『限定解除』を。>
「了解。『限定解除』。」
<軍団を確認。また、邪な波動の神力を確認。
『限定解除』の申請を行います。
ーーー認証されました。>
<紅葉。しばらく耐えろ。>
「わかってる。」
「どうした。それでは民は守れんぞ。私は民が増えてうれしいがな。」
「何が民よ。」
「ははは。仲間も我が民に、何?」
「なるわけないでしょ!」
生徒たちはどこからともなく取り出した刀の様な武器を振るい、
善戦していた。
その周囲にはいつ合流したのか、控え室にいたであろう生徒と、
人形になった武器たちがいた。
「お前らは何だ。そうだお前の武器もそうだ。
人の気配を感じる。なんだ。」
「教えるわけないでしょ。」
<用意完了だ。>
「『清らかなる青き火。聖なる火となり、悪しき力を打ち砕け。
聖火<青火>』!」
そして、上空に高く飛び上がる。
「『日輪のごとく火球よ。すべて邪なるものを飲み込め。<サンシャイン>』!
爆ぜろ!」
青い球体ができた瞬間に爆ぜる。それが波のように広がり、帝都に降り注ぐ。
そして、紅葉はふわりと闘技場に降りてくる。
周囲には紅葉の炎で焼かれたであろう、人々が倒れていた。
<やりすぎだ。延焼しなくてよかった。>
「きさま!」
そう憤る王子の姿は獣のままであった。
「あらあら。あなたは獣のままなのね。」
「神の力である。貴様の炎ごときで!」
「なら、示して見せなさいよ。」
そう言い、紅葉は王子を挑発する。




