トーナメント5
「いつ、レイピアを?」
「お前を切ってすぐだよ。いやな予感がしてな。」
名取はアンが変化した剣を振り、血を払う。
その目にはサングラスがかけられていた。
「アンさんの中にな。」
そう言って、人差し指でクイッとサングラスを上げる。
「そりゃないぜ。」
「やられるとわかっているのに、防御しないわけがないだろう。」
<ふむ。神戸。>
そう、レンが語り掛けると、柄が伸びる。
そのうえ、穂先がハルバートのように斧や鎌の刃が現れる。
「ちょっ!」
慌てて、アンとレイを体の前でクロスさせ、体を横にして、躱すが、
ーキン!ー
「のあ!」
よけたと思ったら、そのまま、振り回しがきて、はじき飛ばされる。
ステージの端まで持ってかれそうになるが、上体を倒して、
あおむけになることで躱す。
「あっぶな!」
「ちっ!そのまま落とそうと思ったのに。」
「だろうね!」
体を跳ね上げ、立ち上がり再度相対する。
ーバサッ!バサッ!ー
ナスカが名取の横に降りてくる。
<もう、クライマックスでいいかな?>
「ボロボロだな。」
<まぁ。若いからな。というわけで、リベンジに協力してくれ。>
「お前が俺を助けるんじゃないのかよ。」
<ハハハ。悪いな。>
苦笑いをする気配を感じ、つられて苦笑いを浮かべる。
「『限定解除』!」
名取がそう叫ぶと、ナスカが光になり名取に憑依する。
すると眩しい光に包まれ、四枚の羽を生やし、
頭髪が金の羽毛のような形状になった姿で現れる。
「なら俺もだな。『風龍』!」
<わかっている。>
風龍が光となって神戸に入る。
すると竜巻が突然神戸を包む。
「これが本当の竜騎士ってか。」
竜巻が収まり現れた神戸は、竜の頭の兜、
よりは龍の鱗のような輝きの甲冑、
そして、竜の羽を生やしていた。
まさに最近はやりのゲームの竜騎士のような姿をしていた。
「さぁ!ラストダンスだ!」
そう、神戸は豪語すると、ハルバートの柄を伸ばし、
叩きつける。
だが、それは、名取を透過する。
「なっ!」
神戸は驚愕の表情をし、そのままレンを離す。
名取は無言のまま、レイのレイピアを突きの構えをとり、
そのままものすごい速さで突きを放つ。
「ちょっと!」
レーザーのように神戸に向かうが
危機を感じた名取は上空に飛んだあとだった。
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「うん?なんかおかしいな。」
紅葉は名取の状態に違和感を覚える。
「もしかして暴走?」
そう考え、慌てて、名取を止めようとステージに干渉しようとするが、
みるみると力が小さくなるのを感じ、やめた。
「いくらなんでも安全装置はいれるか。」
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再度、突きの構えをとるが、糸が切れた人形のように倒れる。
すると、光が包みこみ、ナスカと名取に分かれる。
「名取!」
慌てて神戸が駆け寄る。
名取の真横のステージの地面から紅葉が浮かび上がってきた。
「秋ちゃん・・・。」
「見ていたわ。恐らく暴走をしてしまったのね。」
そういうと、紅葉は名取を抱き上げ、神戸とともに控室と向かった。




