トーナメント1
「君が相手かい?」
名取がステージに上がるといかにもな騎士ですといった立ち振る舞いの
男がたっていた。
「ギブアップしてもよいのだよ。」
さらっと髪をかき上げながらいう。
「剣で語れよ。」
そう言って、名取は剣先を相手に向ける。
<気持ち悪い方ですね。>
アンが名取に囁く。
<これは・・・。雑魚ですね。認識阻害。擬態。魅了。剣術。
恐らく、魅了で思考を誘導して、逃げたり、別の人間に押し付けて、
前線にでないタイプですね。>
レイが鑑定結果を囁く。
(俺に魅了が通らないのは?)
<姫様の恩恵では?姫様の覇気を常に浴びていたからかと。>
名取の疑問にアンが答える。
(なるほどな。)
「はじめ!」
そう、アンに返し、一気に踏み込み、胴を二刀で薙ぐ。
すると、相手は壁に突き刺さった。
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「ま、予想通りよね。」
紅葉は結果に満足そうにうなずいた。
「次は・・・。ふむ。好カードかしら。」
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「双方前に。」
宮城が名取とすれ違いながら、ステージに上がると、
相手もゆっくりと階段を上がってきた。
<獲物は双刃の槍でしょうか。あと、刃のついた輪?ですかね。>
ケイが助言する。
(みたいね。それに。戦い慣れてる?)
「あ、あなたは。お久しぶりです、ビエツで巫女をしております。
ビアンカです。」
そう、言って相手は頭を下げてきた。
「ああ、そういえば、教会で奉納舞をしていた。こちらこそよろしく。
宮城よ。」
宮城は言われて思い出す。武器を作成した際にその武器を用いて、
神前で舞を奉納していた巫女だ。1、2回ほど見かけたことがある。
(これは。私も本気で挑まなければ。知っています?
私も奉納舞を踊っていたんですよ。)
そうケイがいう。
「はじめ!」
宮城はケイを閉じた状態で、自分の左上、右下に構える。
その瞬間にカンッと音がする。
「やはり!」
「それは、読めてたわ。」
重い連撃を受け止め、後ろに飛びつつ、左の扇を開いて、
風の刃を飛ばす。
「残念ですが、それは!」
ブンッ!と槍を振り回すと、突風が吹き、風の刃が霧散する。
「でしょうね。」
カンッ!甲高い音がしたかと思うと、槍が真ん中から切れて離れた。
「え。いつ?」
ビアンカは驚きながらも武器を変えつつ、宮城を見る。
すると、閉じていたはずの右の扇が開いている。
「くっ。時間差ですか。」
「そうよ。あなた相手には、これくらいの手品がないとね。」
宮城は扇で口元を隠しながらいう。




