パワーアップ?
生徒たちは試合が終わり、ほっとしながら控え室へと歩いていた。
「いやー。楽勝だったね。」
日野がくるりと振り帰り、言う。
「何もしてねーじゃん。」
「そんなことないよ。」
富士がつっこむと、後ろ歩きのまま反論する。
「あぶないから、まっすぐ」
そう、宮城が言おうとすると、日野が誰かにぶつかる。
その瞬間、周りから隔離され、慌てて、生徒たちは臨戦態勢をとる。
しかし、アンやレイは生徒を守るように人形になり、
その”誰か”に相対する。
「お遊びが過ぎませんか?ライ様。」
<ヤハリ。アナタガタヲ誤魔化スマデハイキマセンカ。>
レイがそう言うと、その”誰か”はフードを脱ぐ。
「その気配は忍様とアル様に手伝っていただいたようですね。」
アンにそう言われ、ライは頷く。
そして、懐に手を入れるとカードを数枚取り出し、
それを名取、宮城、富士、日野に投げる。
「これは?」
そこには獣の絵が描かれていた。
名取のカードには白い4枚の羽の大きな鳥と雷が
宮城のカードには炎のトカゲ、人魚、緑色の鳥、モグラの4体が、
富士は水色の燕、日野は銀色の狼が描かれていた。
「召喚カードですか?」
<技術部ガヨウヤクコピート量産ニ成功ヲシタ。>
カードをのぞき込んで確認したケイの問いかけに答える。
「使い方を。」
アンが問いかける。
<『召喚』デ実行。鎧ヲ展開状況デ『限定解除』デ憑依状態ニナリマス。>
「なるほど。効果は?」
<効果ハ使エバワカル。>
「それは・・・。まぁ、そうだけど。」
やらかしをする技術部の「使えばわかる」はあてにはならない。
アンは渋い顔をするが、生徒たちはカードを真剣に見ている。
それを見たライがニヤッとしたかと思うと、闇が晴れ、
廊下へと戻ってきた。
「あー。ここにいたか。」
角から紅葉が顔をだす。
「アルの結界ぽかったけど、あのフードでしょ?」
「ええ。姫様。ライ様でした。」
「で、なんだって?」
「新装備を。」
それを聞いた紅葉は眉をひそめる。
「それ、安全?」
「恐らく。」
「ま、いいか。それはそれで。どうにかできると思うし。」
「姫様。そろそろ戻りませんと。」
サラが後ろから声をかける。
「そうね。そうだ、そのライは。」
「帰ったようです。」
「そう。ま、いいか。呼べば現れるでしょう。」
そう言うと、サラを率いて、席へと戻っていく。
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控室に戻り、一息ついて、名取がアンへと問いかける。
「えーと次は?」
「個人のトーナメント戦ですよ。」
「なら、俺らも次からはライバルだな。」
「だね。」




