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女教師は帝国で奮戦す

「はぁ~。気乗りしないな~。」


紅葉がため息をつきながら、東方の使節団を罪人のように歩く集団の先頭を

馬にまたがりながら進む。


「秋ちゃんもああしていれば凛々しいのにね。」


宮城がいつもの馬車の御者台に座りながらつぶやく。


「ところで、なんで秋ちゃんは馬車じゃないの?」


馬車の中で、大野達とトランプで遊んでいた日野が

馬車ではなく軍馬にまたがり、しかも先頭を行く紅葉に疑問を持った。


「そう言われればそうだな。」


「お前ら話を聞いていなかったな。

 帝国に与する奴らを捕虜として扱い、

 帝国に近しい国に無血で開城させ、

 譲位を速やかに行わせるっていってただろう。

 今頃、信さんは飛空艇で皇帝の遺体と役人達と帝都に向かって、

 降伏勧告を行っているころだろう。」


神戸が参考書から顏を上げていう。

3年生はこちらの世界でもそろそろ受験勉強をしないと、

志望校に受からないのである。


「でも、危なくない?」


「馬鹿いうな。あの人を害せる者がいるかよ。」


「それもそうか。」


ここまでも、何度か開城を拒んだものがいたが、

その都度、魔法で力押しをし、真っすぐ進んできた。

それを見た生徒たちは相変わらずの脳筋具合と、

圧倒する能力にあきれつつも、ここまでついてきた。


拒んだものたちをさらに捕虜として、連れて歩いているため、

大規模なキャラバンの様相になっていた。


「あとちょっとで、帝都ですかね。」


神戸も顏を上げて、会話に参加する。


「だろうな。」


それから2日後、帝都の防壁が見え、すぐに城へと通された。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「これで、お前も一国の女帝だな。」


「いやみ?私の所為で王まがいのことをさせられてるから。」


「どうだろうな。ほら、さっさと着替えて、戴冠式を行うぞ。」


「はぁ~。面倒、面倒。」


促された紅葉は豪華なドレスに着替え、マントを羽織って、

今度はオープンな馬車に乗って、教会へと連れられた。


「うん?ちょっとおかしくない。」


手を振りながら、小声で信幸に話しかける。


「何がだ?」


「王権を神からもらうという程なら、これ不要よね。

 自分が自分を任命するの?」


「おや気づいたか。そうだ、本当なら不要だ。」


「ああ、でも見栄と認知のためか。」


「そういうことだ。」


そんなくだらない会話をしていると、教会へとたどり着き、

ガチガチの教皇から、王冠と杖をもらい、式はつつがなく終わった。

その裏では、何人かの人物が静かに消えたのは生徒と民衆は気づかなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さて、大会を開いて、有力な人を雇わないとね。」


紅葉が玉座に座り、その横にアン達が控える。


「場所は一応、セッティングしておいた。」


そう言って信幸は紙を紅葉に渡す。


「文官は宮殿内で筆記と面談、武官はコロッセオでトーナメントを実施後、

 宮殿で面談、サーバント系はうん?これは?」


「サーバント系は面談だけにしようと思ったんだが、

 ちょうど、王宮と貴族の邸宅が丸々空いたんで、そこを会場にして、

 実務能力のチェックだな。」


「なるほど。ま、各人の能力チェックはお願いするよ。

 私は武官のチェックをするから。」


「お手柔らかにな。」


「それは、ね。くずは殺しても構わんのだろう。」


「ほどほどにな。」


紅葉は怖い笑みを浮かべ、コロッセオに向かった。



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