相談
「で、どうしたの?」
話を聞いた六花の第一声はそれだった。
朝食の場で、事の顛末を話すと、六花はため息をついて、
そう聞いたのだ。
「その場はとりあえず解散にしたが、王たちはまだ帰国させていない。
次の皇帝が誰になるにしろ、まともな者は帝国にはいないだろうと思われる。」
「聞くだけで、頭痛がするわ。商業神がそこまで狂っているのも問題だけど、
まさかの薬物や劇物が東方に出回っているのも問題。
あの島もダンジョン化が進みつつあるし、これ以上の干渉はそれこそ、
過干渉で、管理者と神に影響がでそうだわ。
システムと相談はしているけど、新たな神や精霊、妖精を生み出してもらって、
運営を行わせないと、難しい段階にありそうね。
流治じゃないけど、リセットしてやり直しをしたいわ。」
そう言って、茶碗を置いて、湯飲みを口にする。
空だったのか、顏をしかめ、中を見て、さらにため息をついた。
それを見た、美幸が鉄瓶からお茶を注ぐ。
「流。どうする?」
「どうするもこうするもないだろう。どこかの傀儡国家になってもらうか。
どこかの国との割譲統治にするか。貴族や王族が薬漬けの国家なんて、
どう考えても、破滅一歩・・・。おい。帝国に薬物。
それも、魔物化するようなものが出回っているってことか?」
そう、流治がいうと、食卓の空気が一気に凍り付いた。
全員の頭の中を現状考えられる最悪の状態が巡る。
「まずい、まずいよ。そうだよ。」
「ふむ。まずいな。」
六花と信幸が真っ先に復帰する。そして、一気に慌てだす。
「そうよ。商業神が言った邪神の代わりって、魔王のことじゃない。
あーなんで気づかなかったかな。そうよ。バックアップってそういうことよ。」
「あー。どうします?帝国中とは言えないかもしれないけど、
魔界化するリスクがあることで、リソースの偏りやら、
植生の偏りやらで大変なことに。」
紅葉と美雪が考えられる現状の最悪の状態を口にする。
「仕様がない。隔離だな。魔物化した奴は、島に送還だ。」
信幸が一番堅実な方法を口にする。
「そうだな。エンデに言って、島に隔離してもらって、
帝国にとりあえずの政府を樹立して、都度取り締まりを行うしかないか。
王は・・・。秋姉かな?」
流治がそう締めくくると、渋い顔をしながらも、全員が肯いた。
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部活の時間、開始前に部員を集めて紅葉が口を開いた。
「向こうの世界の件で通達があります。来週からは帝国です。」
それを聞いた部員はなぜそんな宣言をしたのか首をかしげる。
「秋ちゃん。なんでそんな宣言を。」
名取が質問をする。
「それは私が臨時の皇帝に就くことになったからです。」
それを聞いた生徒は全員渋い顔をした。




