最終決戦への道中
「む~。うざい。」
片手間に、飛んでくる飛行型の魑魅魍魎を屠りながら紅葉がいう。
「エンデ。入ってこれないようにできないの。」
「水分が結界に張り付いて前が見えなくなるからだめだ。」
「なら、流。」
「雨を入らないようにするのが精一杯です。
これでも船の周りは結構な強風が吹いているんだぞ。」
「ふーん。飛炎。」
「ちょっ!秋ちゃん!」
炎を飛ばした紅葉の隣で敵を切っていた日野が驚いて、声を上げる。
飛んだ炎は見えない何かに流されるように掻き消えた。
「秋姉!何してんだ!」
「本当に風が吹いているか試しただけ。本当に風の結界があるのね。」
流治がどなるが、悪びれるようすもなく、そう答える。
「やるなら土にしてくれ!」
「ごめんね。流。私、土の攻撃系忘れちゃったの。」
「おい。」
「秋ちゃん・・・。」
けらけらと笑って答える紅葉に、流治はジト目でにらみ、
日野はあきれ顔でため息をついた。
「紅葉。頼むから、余計なことはするな。」
信幸が雷で結界の外にいる者を散らしつつ、
結界にも帯電させ、侵入しようとするものを阻害し撃ち落としていく。
「余計なことって。」
「そら、お前。風の結界に引火させるとかだよ。」
「あー。なるほど。」
「信兄!」
六花が余計なことを言った信幸をとがめる。
紅葉はその手があったかと、炎をつけようと剣先を向ける。
「はい。そこまで。」
フレイがそう言いながら、紅葉の肩をたたく。
「だめだよ。それは。動けなくなっちゃうし、危ない。」
「ちょっと。どうして。」
「私は時だよ。剣の周辺だけ流れを止めることくらいなら、
理には違反しない。はい。下す。」
「くっ。相変わらず、流の分け御霊はチートね。」
「私たちからすると。あなたがたの方がチートですけどね。
はい。頑張って下さい。」
そう言いながら、エンデは手をパンッと叩いてから、
見ているからなとハンドサインをして、
デッキの出入り口へと下がる。
それを苦々しく見ながら、ノールックで後ろから襲ってきた敵を突き刺す。
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「やっと、やっと、山肌が下に見えてきた。」
富士が、そう言いながら、デッキのふちの手すりに寄りかかる。
「富士。安堵しているところ悪いが、
このまま諸悪の根源の根城付近まで向かう。
しばらく、戦闘が続くから、シャキッとしてくれ。」
信幸が疲労困憊の体の生徒たちを見回しながらいう。
「六花はサポートを。もう、水はいいだろう。」
「了解。まずは疲労をいやすは。」
そう言うと、ミストが生徒たちを包む。
「さ、第二ラウンドだ。頑張るぞ。」
言われた生徒たちは剣を杖にして、立ち上がり、さらに増えるであろう、
敵に備えて気合を入れる。
紅葉と信幸はラストに待つ精霊に対して、どう接敵するかを頭の中でめぐらせた。




