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獣神

<呼びかけに応じてくれて感謝する。

 何度も呼びかけはしたのだが、どうやら、結界があったようで、届かなんだ。>


そう言って、狼は顔を紅葉へと向ける。


「それを正しに来た。私は馬鹿だから、標として先に来た。

 話が分かるものを呼ぶが構わないだろうか。」


<もちろんだとも。外に女神と共にいるものであろう。

 呼ぶと良い。>


そう宣言すると、周囲から喧騒が遠のき、狼と紅葉の間が広がる。


「ではでは失礼して・・・。ってどうするんだっけ?」


<お主、大丈夫か?>


「えっと。大丈夫じゃないかも・・・。」


紅葉は魔法陣が分からずあたふたする。


「そんなことだろうと思ったよ。」


紅葉の後ろの空間が歪むと、エンデが現れる。


「一応、ビーコンをつけておいてよかったわ。」


「いつの間に・・・。」


「そこだよそこ。秋姉は忘れっぽいから。」


そう言って、右肩を指しながらいう。


「お初にお目にかかる。こいつの身内のエンデと申す。

 今から、呼ぶのでしばらくお待ちください。」


そういうと地面に魔法陣を描き始める。

それを見ながら狼は口を開いた。


<似とらんな。本当に兄妹か?>


「兄妹よ。紛れもない。似てないのは・・・。

 似てない?」


紅葉は狼の方を向いて首を傾げる。


<すまん。顔がわからんのだ。

 お主のように炎を纏い土の鎧をまとう戦士のいでたちではないから、

 てっきり別の種族かと。>


「ああなるほど。魂からそれに類似したものを見ているのね。

 それは仕方がないわ。

 あの子はちょっと事情があって、魂が不完全なの。」


<そうか。そういうことか。人の形には見えるのだが、

 ところどころ黒や白のシミで、よく姿形が分からんのだ。>


「そう。だから、私が強くないとならないの。」


そういって、作業をするエンデの背中を優しい眼差しで見つめ続けた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「よしっと。では、呼ぶぞ。」


<信兄。全員を船へ。>


<了解だ。・・・。準備完了。いつでもいいぞ。>


念話で信幸に指示を出し。飛空船事、召喚を実行する。


光の柱が立ち上がる。


光が収まると飛空船が現れ、しばらくすると、

エリスと龍達、信幸、生徒たちと順番に降りてくる。


「久しぶりですね。フェン。」


<はい。女神エリスさま。私が不甲斐ないばかりに・・・。>


伏せの姿勢で女神に相対し、詫びを述べるが、それをエリスは手で制す。


「いいえ。元はと言えば、私が武神を止めることができず、

 また、異界の戦士たちの後始末に失敗したことが原因。

 あなたに謝られる云われはありません。

 それに、こうして、今回は事情に通じている方がたからご助力をえることができ、

 またこうしてあなたと話しができるまでになりました。

 あなたが無事であれば、また、動植物を元に戻すこともできます。」


<勿体なきお言葉。再び、生物の循環を守らせていただきます。>


そう宣言すると、再び女神に対し伏せた。


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