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友情

 ある火曜日の夜十二時過ぎ。お客も引けて、中央のテーブルに座る二人の男女だけに。


 二人とも三十代後半だろうか。スーツを綺麗に着こなした渋い感じの男性と、妙に物憂げで色気のある女性が静かに会話している。


 声は小さいものの、BGMに邪魔されることなく、カウンター内でグラスを洗う佐藤にも届いてくる。


「ねえ、男女の友情ってあると思う?」


 女性の問いに男性が答える。


「あると思うよ。だって俺らがそうだろ?」


「そうね。わたしたちは友情が成立してるわよね」


 女性は少し意地悪そうに続けた。


「じゃあ、友情が壊れる時ってどんな瞬間かな? あなたはどう思う?」


 それを聞いて佐藤は思った。壊してしまえよ! その先への誘いだろ? 


「そうだなあ。でも、俺とお前の友情は壊れないよ。そんな瞬間はこないよ」


 そう言って男性は氷の溶けかけたジェムソンを飲んだ。


 佐藤はもやっとした。結局、暗に断ったのか、それとも踏み込むことを躊躇したのか、はたまた気づいてないのか。う―ん。自分なら迷わず踏み込んだのに。


 そう思いながら、グラスを洗い続けた。

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