005、ゴミはダンジョンに捨てよう!
「色々面倒臭いが、誤魔化せなくもなかったなあ」
ライカはしみじみと言った。
あれやこれや手続きしたり説明すべきことが山のようにあるはずなのだが。
そのほとんどを、ライカはどうにかしてしまった。
お役所仕事や書類関係を、
「おおかた魔法で誤魔化させたのは僥倖だ」
と、ライカは語る。
それって、書類の偽造とかそんなもんでは?
だが、別に大きなトラブルもなく、奴隷エルフとの生活は続いているわけで。
もっとも問題になると思われた生活費であるが。
「タケオさん、千円ほどご用立て願いたい」
と、ライカは言い出した。
その後ふいっと出かけた後、
「当座はこれでどうにかしよう」
帰ってきた時には数十万円ほど持ち持ちかえってきた。
「ど、どうしたんだ、これ?」
「ああ賭け事で少しな。競馬とやらだが」
「マジですか?!」
「ああ。子供の鬼ごっこに混ざるようで若干気は引けたが」
こういう感じで生活費をどうにかしてしまったのである。
ライカは掃除好きのようで、よく掃除をしてくれるのだが――
気になるのは彼女が来てから、部屋からゴミがなくなった。
燃えるゴミから、空き缶やら何やら資源ゴミやら。
指定日に捨てようと、袋に入れておいたものがない。
「あのさ、ゴミ勝手にどこか捨ててる?」
俺は気になって、ある日ゴミ袋をしているライカに尋ねてみた。
「うむ。別に咎められるような処分ではない。むしろこちらにも有益だ」
「どういうこと?」
「それには、ダンジョンの性質について語らねばなるまい」
言ってライカはダンジョンの入り口を出した。
ダンジョンへのドアは、彼女の意思で自由に出し入れできるらしい。
ゴミ袋を手にダンジョンに入るライカに続くと、ダンジョンは前より広くなっていた。
そう極端に変わっていないが、明らかに部屋や通路が増えている。
「ダンジョンって、大きくなるのか……?」
そもそも、これはどこでどうつながっているのか。
俺が聞くと、ライカは無造作にゴミ袋をダンジョンの通路に放り出す。
「何やってんだ?」
「少しばかり待ってほしい」
しばらくすると。
ゴミ袋はうっすら光り始め、やがて粒子状に分解し始めた。
光の粒子は、ダンジョンの床や天井、壁に吸い込まれていく。
「え……。何コレ?」
「ダンジョンは基本、世界の穢れなどを喰らい、成長するのだ。穢れという概念も説明すると色々ややこしいのだが……まあ、わかりやすくゴミ、廃棄物と思ってくれればよい」
「うそォん……」
「嘘ではない。まあ、我が家から出るゴミは微々たるものだから成長スピードは大したことはないのだがな。あくまで住居として使うから、さほど巨大化、レベルアップせずも良いが」
「……レベルアップすると、どうなるの?」
「色々アイテムを出したり、あと、わき出すモンスターが強くなるな」
「…………。モンスター?」
「うむ。モンスターだ」




