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その48、『ワンコイン彼女』




<最近、各地の飲食店、コンビニなどでコーヒーの売れ行きが急上昇しています>



 てなニュースが流れていた。



 そういえば、最近どこのコンビニに行っても若い女の子がコーヒーを飲んでいる。


 気のせいか、みんな美人ばかりのようだが……。



 で、スーパーなどでもコーヒー類は品薄状態のようだ。



『インスタントコーヒー・お一人様ひとつまで!』



 という張り紙も見た。



 コーヒーキャンディーやゼリーもよく売れているみたい。



「そういえば、ファミレスでもコーヒー飲んでるヤツ多いですねえ」


 というのは、今日もやってきた炭川だった。



「何かコーヒーに関する健康法でも流行ってるんかな」


「それはないみたいですけどねえ……」


 炭川もスマホでSNSを確認しながら、首をひねる。



「あと、売春がえらい流行ってるみたいスわ」


 と、炭川はSNSの記事を見せてきた。



 なるほど。どうも大勢の若い女性が売春行為に及んでいるという内容。


 しかも、警察の取り締まりも効果がない様子。



「しかし、こんなことしてたら怖い筋の人らに目をつけられるんじゃ?」


「ところがその怖い人たちもダメらしいッスわ」



 売春の流行と同時に、どこそこ組の何とかとか、なになに会の誰それとか。


 とにかく、その筋の人たちが全裸で発見される事件が続発していた。



 身ぐるみはがされた上、完全に腑抜けにになっていて、記憶も曖昧らしい。


 また、ものすごく老け込んでしまったパターンもあるようで。



「ライカさん、何かわかります?」


「どーせサキュバスだろ」


 炭川に、お茶を出しながらそっけない返事のライカ。



「サキュバス?」


 俺は少し驚いたが、エルフにドワーフもいるし、アンデットもいる。



 そういう悪魔系の種族もいてもおかしくはないか。



「ええ、そうです。あいつらはエルフと並ぶくらい魔法に長けている上に潜伏する技術も大変優れている。厄介な連中ですよ」



「じゃ、今噂の売春は……」


「まず、あいつらの仕業でしょうね。精気を吸える上に金もとれる。良い商売だ」


 と、ライカは肩をすくめて俺の横に座った。



「ちょっと、待って! じゃあこれも!?」


 言ってスマホを突き付けてくる炭川。



 画面に映っている記事は――



「……えーと? ワンコイン彼女?」


 要するにこれも売春なのだろうが……。



 これは学生間で大いに跳梁し、問題ともなっているようだ。


 ワンコイン。すなわち500円硬貨。



 それで一日彼女として付き合ってくれるというものらしい。


 デート費用は当然客持ちで、最後にはラブホテルにゴールイン。



 都合がつかない場合、最後にゴールする場所だけは、『彼女』が用意してくれる。


 大雑把な情報だけだが、『彼女』はみんな美人ばかりらしい。



「青少年の若い精気は格好の餌食だ。そりゃタダでも食いつくでしょうねえ」


 と、ライカは嘆息。



 この『ワンコイン彼女』にはまって、勉強や部活をおろそかにする学生もいるよう。



「こりゃ、親は気が気がじゃないわなあ……」


「場合によっては、その親も客になっているかもしれませんね」


 父と息子でサキュバスにはまる――嫌な図であった。






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