041、炭川は初期魔法を覚える……が
「なるほど。人間にしては筋が良い」
結局炭川はライカの指導を受けることとなった。
さんざっぱら騒いでいたが、結局自力でできたのは手を平少し光らせるだけ。
懐中電灯にも劣る有様だった。
ライカの指導を横から見るに、魔法を使うにはやはりの相応の訓練がいるらしい。
初日で炭川が出来たのは、
「まず自身の魔力を的確に捕らえ、制御すること」
これの初歩だったようだ。
かなり遠い道のりのようだが、
「そも、人間が魔力を生み出し、かつそれを自覚し制御するには数年がかりです」
ライカはそのように語った。
「もっとも、それは普通の人間の話らしいですが、冒険者で魔法職ならもっと早いでしょう」
早いと言っても、一年がかりという恐れもあるのではないだろうか?
俺がそのように言うと、
「まあ、かもしれませんねえ」
と、のんきな返事。
そりゃライカにすれば所詮他人事だし、彼女からすれば一年など一瞬かもしれない。
「ともかく、今日教えたことを忘れず体に馴染ませろ」
「はい、師匠!」
炭川はまったく妙なノリで返事をする。
漫画の読みすぎ……というのは、漫画家として問題あるだろうか。
「基礎訓練をへて、魔力をハッキリ見せられるようになれ。それまでは来るな。無意味だ」
「キビシー!」
かくして炭川はようやく帰っていったのだった。
「炭川ができるようになるまで、どれくらいかかるんだろうな?」
「さあ……。わたしも人間に魔法を教えるのは初めてですから……」
と、肩をすくめるライカ。
ひょっとして、そのうち諦めるかな? と、俺は思ったりもしたのだが――
「師匠ーー! できるようになったスよ!!」
数日後、炭川はまた騒ぎながら走り込んできたのだった。
「ほら、見てください!」
言うなり炭川は手の平を掲げる。
と、その上に小さな赤紫の光がふわりと浮き上がる。
よく見ると、それは手の平と小さな無数の光の筋でつながっていた。
「なるほど。できている」
ライカは素直に関心たように、何度もうなずいた。
「では、それを応用しての訓練をしてやろう」
と、はしゃぐ炭川をダンジョンに案内した。
そこで指導して教えたのは、
「ハッ!!」
手を突き出した炭川から、野球ボールほどの光の玉が飛ぶ。
それは見事に青スライムに命中する。
衝撃でダメージを受けたようだが、それでも倒れない。
逆に怒って……そういう感情があるかどうか怪しいが……向かってくる。
「え!?」
倒せなかったことに炭川は動揺し、反応が遅れた。
「すわっ!」
俺は思わず、メイスでスライムを潰す。
「隙が多い。タケオさんに感謝しろ」
ライカは嘆息して炭川を叱り、ボコンと頭を叩いた。
どうやら初期魔法では一撃必殺といかないらしい。




