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003、エルフはネットを覚える




 エルフの部屋はアパートの部屋とそう変わらないサイズだった。


 天井には、やっぱり丸い電灯らしきものがある。



「あれは電灯?」



「いや、魔力灯だ。ダンジョンの魔力で光を発している」



「ふーん。しかし……あんた、ホントに異世界のエルフなわけ?」



「何を今さら」



 俺の言葉に、エルフは不思議そうに肩をすくめた。


 改めてみると、やはり美女。いや、美少女? しかもナイスバディ。



「魔法とは無縁の生活だったもんで。というか、現代人みんなそうだよ」



「魔法が珍しいのかな?」



「ものすごくな」



「わかった。覚えておこう。それでは、まず何をしようか」



「何をって……?」



「何度も言うが、わたしはすでにあなたの奴隷なのだ。放置されても困る」



「奴隷奴隷って、SMじゃないんだからさあ……」



 俺はため息をついて、無性に酒が飲みたくなった。



「というか、あんたを養える甲斐性はないのよ、俺」



 俺は自分を指して、空しくなる宣言をした。



「つまり、金がないと。そんな心配は無用。食い扶持を稼ぐのも奴隷の役目」



「ええー…………」



 胸に手を当てて豪快に笑うエルフに、俺は逆にちょっと引いてしまった。



「なので、この国のことを色々教えてくれまいか?」



「まず、エルフなんていない」


 とりあえずそれだけは確かだった。今の目の前に一人いるが。


 でも、愚痴っても仕方ない。



 俺は教えられる範囲のことを、教えて――



「まあ、後はネットでググるなり……って、ここ電波はこないか……」


「よくわからぬが後で調整しておこう」



 そんなこんなで、とりあえず俺たちはダンジョンを出た。


 アパートの部屋に戻ると、全ては何もなかったように。





 てなことは、なく。




 やっぱりエルフはそこにいた。



「主よ、わたしはネットとやらがしてみたい」



 わきわきと手を動かして催促するエルフ。


 俺は何だかわけのわからない気持ちながら、パソコンとかスマホを教える。



 エルフの理解力は素晴らしく、瞬く間に日本のこと、現代の常識を吸収していった。



「ほお、これがこの世界の遊びか」



 熱心にネットでリバーシだのチェスだの将棋だのをやるエルフ。


 ちらっと見たが、かなり強いようだ。



 俺はそれを見ながら、窓の外を見て頭を掻いた。


 何で自分の身の上にこんな珍妙なことが起こったのやら。



 俺、絵馬タケオ。



 一応は漫画家……といいたいが、アシスタントでどうにか食っているドマイナー。


 まともな連載も、単行本もゼロの底辺だ。



 顔は、ブサイクだ。


 天然パーマで鼻は胡坐あぐらをかき、妙にでかい唇。


 おまけにチビで、身長は160半ばである。


 素人童貞で、今まで彼女がいたこともない。



 完全に負け組である。



 それが、何でか褐色エルフ奴隷のご主人様になってしまった。





 ドウイウコトナノ……?








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