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035、引田健吾の述懐――その2




 何回かの行為が終った後、俺はベッドでゼイゼイ言っていた。


 実際やってみると、けっこうな運動だ。



 俺は半ばグロッキーになって天井を見上げていた。



「その程度で満足?」


 横で、俺の胸を撫でながらからかうようにヴィオーラが言った。



 彼女の顔にはうっすらと、余裕の笑みが浮かんでいる。


 そして、ヴィオーラはくるんと俺に乗っかり、頬を撫でてきた。




「私を奴隷にした以上、こんなもので満足されては沽券にかかわるわ……?」


「え? え……?」


「エルフの女がどれほど良いものか……たっぷりと教えてあげる」


 そう言って、ヴィオーラは俺に覆いかぶさってきた。



 さあ、それからは――……。



 俺はヴィオーラに導かれるまま、ともかく熱い泥の中に溺れた。


 花のように香しい、暖かく柔らかい泥。



 何度もグロッキーになりかけるが、その度に、



「ほら、回復させてあげる。まだまだできるわよ?」


 ヴィオーラは手の平から、奇妙な紫の光を放った。



 それを浴びる度に、俺の身体は燃え立ち、いきり立つ。


 だから、何度も、何度も、何度も。



 ヴィオーラとの行為に及んだのだった。


 気づけば、カーテンから朝日がさしている。



「まあ、こんなものかしらね」


 俺は半分ボケかけた俺を置いてベッドを降りた。



 そして、シャッとカーテンを開く。


 朝日が眩しく、しかし、何故か前のように不快でもなかった。



「夢……?」


「夢ではないわ」


 ノロノロと起き上がる俺に、ヴィオーラは笑いかける。



「……ホントにエルフ?」


「ええ。けど、目立たないようこうすることもできる」


 途端に、ヴィオーラの耳は人間と同じような形に変化した。



 こうすると普通……? というにはレベルが高すぎる、人間の美女だ。



「少しお風呂……シャワーというのかしらね? それを借りたいのだけど?」


 言われて、俺はやっと家族のことを思い出した。



 もう、ほとんど顔を合わせてないし、話もしてないように思う……。


 ヴィオーラをいきなり会わせて、良いものだろうか? 



 そんなオレの逡巡を蒸して、ヴィオーラはさっさと下に降りてしまった。


 当然、親二人は騒いだ。



 が、ヴィオーラはどこ吹く風で、シャワーを浴びる。


 その間、俺はやたら吠えたてる親を、ぼんやりと見ていた。



「私は健吾さんの友人ですの」


 と、シャワーを浴びたヴィオーラはぬくぬけと言い放った。



 当然そんなもんで誤魔化されるわけがない。


 が、あれこれと話しているうちに、いつの間にか――



「では、これ以後健吾さんのお部屋で暮らしますので」


 ということになってしまった。



 まるで神技の詐欺か、でなければ魔法みたいだ。



「これは家賃がわりです。お納めを」


 と、ヴィオーラはぎっしりと高額紙幣の詰まった封筒を、親に渡した。



 それが決定的な打撃となったのか、親はブツブツ言いつつ、納得してしまう。


 やっぱり、何か魔法とか使ったんじゃあなかろうか……?






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