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032、テレビに映るエルフの魔法



 結局、K家のおばあちゃんは検査入院することになった。



 Kは一応金を実家に置いてきたが、


「何だか騙されたような気分ですよ」


 と、俺たちに困った顔で告げたのだった。



 俺とライカは3日ほど大阪などを見て回り、のんびり過ごす。


 大阪は二人とも初めてだが、食い物はみんな美味かった。



 4日目、帰る前にもう一度K家を訪ねてみる。


 検査の結果、おばあちゃんは全くの健康体だと判を押されたようだ。



「認知症になってたなんて、嘘みたいやわ」


 と、おばあちゃんは照れ臭そうに語る。



「おばあちゃんも元気やし、僕もすぐ戻ろうと思うんですよ」


「なら、俺らもちょうど帰るつもり、また一緒に行くか」


 ということになった。



 ちなみに金は、


「気持ちは嬉しかった。また何かの時のためにとっとき」


 と、K両親は受け取らなかったとか。



 まあ、おばあちゃんも元気なので治療費もかかるまい。



 明日は帰るということで、その晩俺たちはK家で食事に招かれた。



「わざわざお見舞いに来てくださったお客さんやし」


 と、K母もおばあちゃんも張り切ったらしい。



 夕食は非常に美味しかったと太鼓判を押しておく。



 さて、夕食もデザートに果物が出始めた頃だった。


 つけられていたテレビで、何やら大仰な特集を放送。



<驚きのヒーリング魔法! 異世界の神秘!>


 というような変なタイトルで、ダンジョン関係者を取材しているらしい。



 見ていると、テレビ画面にローブを着込んだ赤毛の美女が映った。


「あ」


 その途端、ライカは反応する。


 映る美女は、何とエルフ族だったからだ。



 杖を手にした魔法使いのエルフは、テレビの前で魔法を惜しみなく使う。


 回復の魔法は見事なもので、何と腕のない障がい者の腕を再生させた。



「それなりの使い手ですね。まだ若いようですが、大したものですよ」


 と、ライカはこっそりと俺に言った。



 若いと言われても、ライカも赤毛のエルフもどっちも同じくらいに見える。



<相応の金銭さえ払えるなら、日本中どこにでも行く所存だぞえ!>


 と、赤毛エルフは変な訛りで言う。



<日本国外には行かれないのですか?>


<余所の国は物騒なことも多そうでな。まずは治安のよいこの国で学びたいぞえ>


<学ぶというのは、やはり医学を>


<そうよな。許可が下りるなら、大学とやらにも行ってみたいぞえ>



「はあ、エルフさんいうのは勉強熱心やねえ」


 と、おばあちゃんは感心していた。



「あんな魔法が使えるんなら、商売繁盛で儲かるやろうねえ」


 と、K母は羨ましそうである。



「そうでもないでしょうな」


 否定したのはライカだった。



「知り合いから聞いたのですが、同レベルの魔法を使う者もけっこうダンジョンからこちらへ来ているらしいですよ」


「そら、ごっついわ。あ、飲んで飲んで」


 と、K父は俺やライカに酒をすすめる。



 ライカは遠慮なしに、パカパカ飲むのでK家の人々は大いに受け、喜んだのだった。







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