027、ダークエルフは宣言する
<面白いね。ゲームも良いけど、戦争って展開も悪くない>
ダークエルフの実況と共に、セキハクたちのいる部屋が歪んだ。
いや、エルフたちの近くの空間が歪んだのか?
ぐにゃりと曲がった個所に、ダークエルフの笑顔が大きく現れる。
<戦争する? いつでもやっていいよ?>
いきなり現れたダークエルフに、役人の顔は真っ青になった。
自分の失言一つで戦争が始まる。
しかも大勢の目がある前で――これほどの失態はまずないだろう。
「い、いや、あの…………」
「あなたは戦争を望むのか、ダークエルフよ」
セキハクはため息をついて、ツッと立ち上がった。
<いや、それが日本政府の望みなのかなって。だったら応えるけど>
「いや、いや……! 違います、違います!!」
役人は真っ青になって手を振り、首を振る。
<何だ、そうなの。つまんないの>
と、ダークエルフは肩をすくめて、心底つまらなそうな顔。
<まあ、戦争するならアメリカとか中国のほうが面白いかもね。するなら>
ダークエルフの物騒な発言は続く。
「お初にお目にかかる。高天に属するエルフよ。私はイアラの娘、セキハク。号はゾンデ」
<わたしはエレクト。見ての通りダークエルフだよ>
と、ダークエルフ・エレクトは手を振る。
「参考までに聞くが、あなたはどうやってこの世界に来られたのか」
<あんたと同じ。ダンジョンを通って>
「では、この国で発生しているダンジョンはあなたのせいではないと?」
<ま、そうかな。自然現象>
「そ、そんな馬鹿な……!?」
役人が叫ぶ。思わず反応したという感じ。
<だってそうだもん。お望みなら、私が増やしたっていいんだよ>
エレクトはケラケラ笑い、何か卵型のものを取り出す。
小さなブロック片が、卵の形を形成している、という見た目。
「ダンジョンエッグ……」
<そう。これで地面にまけばダンジョンになる。珍しくもないでしょ?>
「私にはね。それであなたは何を目的にするのか?」
<ボードゲームをするのに、目的とか目標があるかなー>
セキハクの問いに、エレクトは面白そうに笑う。
<ここには魔法もモンスターもダンジョンもなかった。このままだとダンジョンやモンスターだけが増える感じだから、わたしがもうちょい面白くしたくなっただけ>
「あ、遊びだっていうのか……」
役人が絶望したような、怒ったような声を出す。
<君たちだって遊びで動物を狩ったり、逆に保護したりするでしょ>
「そ、そんなこと……」
<わたしから見ると遊びにしか見えないんだけどねえ。ま、いいか。とりあえずしたいことはこの国で冒険者を増やすってことか。わたしと契約すれば冒険者になり、モンスターも狩れるようになれる。モンスターの素材は色々使えて便利だし、お金にもなる>
と、エレクトは手を広げた。
<今この動画を見ている君も、冒険者になってみない? お小遣い稼ぎになるよ>
「や、やめろ」
役人が手を振るが、映像のエレクトをすり抜けるだけ。
<今まではほんのお試し期間。今から本格的に受付を開始だよ。わたしのサイトに契約魔法をかけておくから、アクセスしてみてね。モンスターと戦うダンジョンにもいつでもご案内するから! みんなどんどん来てねー!>




