020、ドワーフ娘の武器屋
「おお、ご注文とは嬉しい限りでがんす」
変な語尾をつけるドワーフの少女は、電話一本でやってきた。
背にバカでかい荷物を背負って、明るいが軽薄そうな雰囲気。
「して、今日は何をご入用で? 打撃武器? 剣? 槍?」
「俺、剣も槍も使えないからなあ。打撃系?」
「ほっほ。では、このメイスなんぞいかが? 素人さんでも使いやすいはずで」
と、ドワーフ少女が背中の荷物から出したのは、
「おお……」
それこそゲームに出てきそうな、ゴツく武骨な槌杖だった。
「持ってみるでがんす」
すすめられるまま握ってみると、かなり重い。
慣れるまで時間がかかりそうだが、頼りがいはあった。
「まずまずだな。他のものを見せてみろ」
ライカはそんな評価をくだして、クールに言った。
「実は、あんまり数は多くないでがんすが……」
と、ドワーフはやや消極的な態度。
「いいから見せろ」
だがライカは若干高圧的な言動で、開示を要求する。
そうして出てきたのが、
「銅の剣に、銅の短槍、バックラー……。それに投擲ナイフが少々……」
何か、初期レベル向けっぽい品ぞろえだった。
「貧相だな」
「お恥ずかしい……。何しろまだ鍛冶場が……」
「は? お前、それがないのに工房とかぬかしてたのか?」
呆れた顔でライカはドワーフを睨んだ。
「いや、いやいや! こう見えても腕は確かで! キチンとした場所さえあれば、しっかりと……お見せするでがんす!?」
と、ドワーフは力説するのだが、
「もういい。そのメイスを置いて帰れ。日本円でいいな?」
ライカは面倒臭そうに札束を投げた。
「うう……」
「場所があれば、もっといいものができるんか?」
札束を拾おうとするドワーフに、俺は尋ねてみた。
「え……? も、もちろんでがんす!!」
その途端、ドワーフは色めき立った。
「タケオさん……!」
ライカは咎めるように口を挟むが、
「いや、俺ドワーフとかに会うのも初めてだし。仕事場も見たことないし」
ちょっとした好奇心というか取材のようなものである。
「頼むわ」
「タケオさんのお申しつけとあれば――」
ライカはやはり呆れ顔だったが、特に文句を言うことはなかった。
「では、ドワーフの娘。来るがいい」
ライカはドワーフを自分のダンジョンへと連れていく。俺も後に続いた。
「ほう、これは……レベルは低いでがんすが、魔力の満ちた良いダンジョンでがんす」
ダンジョンの壁や天井を見ながら、ドワーフは感嘆の声を漏らした。
「世辞は良い。今すぐ場所を用意し、調整する。お前もちゃんと注文を言え」
「は、はいな!」
そして、エルフとドワーフは何か話しながら、空中に浮かぶ地図や魔法陣を弄り出した。
俺が手持ち無沙汰にしていると、ダンジョンの一角が音を立てて変形し始める。
そして、何やら物々し気な鍛冶場が出現したのだった。




