019、武器と防具の店があればいいね?
世間がダンジョンでアレコレうるさい間――
俺はちょっと行き詰って考えることが多かった。
「ううーむ……」
40匹目のスライムを倒した後、考え込んでしまう。
「タケオさん、いかがされました?」
「んー……。いやね、このバットもけっこうくたびれてきたかなと」
「なるほど。まあ、元々戦うための武器ではありませんからね」
あちこち傷やへこみのできた金属バットを見て、ライカはうなずく。
「ゲームならこのへんで、ためたお金を持って武器と防具の店に行くところだけど……」
あいにく、そんなものは日本にない。
猟銃なんかは、買うのも持つのも色々めんどくさいのだ。
「まあ、金もあんまりないけどなあ……」
俺が嘆息すると、ライカは?マークを頭に浮かべ、
「ご入用なら、いくらか用意しますが?」
と、輪ゴムをくくった一万円札を取り出してくる。
競馬で定期的に稼いでくるお金だ。
ダンジョンの部屋には、これと同じものが箱の中に放り込まれている。
おかげで俺は金に不自由はしなくなった。
しなくなったが、別に俺の金ではない。
「ちょっと貸して」
と、前に冗談で言ってみたところ、
「ははは。貸すだのと……。ご入用なら好きなだけ」
と、ライカは笑って箱ごと渡してきた。
あまりにもあっさりした行動に、俺は完全に毒気を抜かれてしまう。
というか、今も食費だの生活費だのはライカが持っているのだ。
「そんなことしなくても……」
と、俺が言っても、
「いや、ご遠慮は無用。この程度でビックリされてはハイエルフの名折れ」
と言って聞かない。
元から貧乏生活だから、つい甘えてしまうのだが。
(これでいいのだろうか……)
という思いから、金をせびったりできない。
貧乏性というか、小物なのだなあ、とつくづく思う。
そんな負い目から、いつの間にか嫌だったスライム退治を積極的になっていた。
こうしたわけで、装備……特にバットがヘタレてきてしまったのだが。
「どこぞのドワーフ辺りに、依頼してみるのが手っ取り早いのでしょうが……」
と、ライカはつぶやく。
「ドワーフって、鍛冶とかが得意な小人というか妖精?」
「ええ」
「そんなもん、この日本に……」
「探してみましょう」
とライカが言ったので何をどうするかと思えば、取りだしのはスマホ。
で、SNSで何かやり始めた。
「ふむ。これなどどうです。ちょうど近場だ」
「はい?」
言ってスマホを突き出すライカに、俺はマヌケな声を出してしまった。
そして、画面に映っていたもの――
『ドワーフ・ワグタカの工房』
そこには、ハンマーを手にピースサインをする褐色の少女が映っていた。
堀が深く、濃い眉毛が特徴的。
そして、耳が三角おむすびみたいな形をしていたのである。




