015、ダンジョン動画の流行
世間では、ダンジョンについてあれやこれやと揉め出した。
あのダークエルフの動画はすぐに消されたようだが――
<はーい、今回もダンジョンの情報をお届けしまーす!>
どういう方法をとっているのか知らないが、あちこちで動画を張り付けるようになる。
それに対処がされると、ついには自分でサイトを立ち上げてしまった。
しかし、いくら自分でやってもそんなもの潰されてしまうのでは?
そう思うところなのだが。
ダークエルフのサイトはアクセスは自由にできるのだが、
「一体どこでどうやってネットにつないでいるのか、皆目わからない……」
ということらしい。
発信元をたどろうにも、それがわからない。
そんなバカなというところだが、事実そうらしいのだ。
「おそらくどこかのダンジョンの奥から、魔力波を介して発信しているのでしょう」
と、ライカはよくわからん説明をする。
「さっぱりわからんけど、すると……あのダークエルフもダンジョンを?」
「ええ、ダンジョンマスターなのでしょうね。これは勘ですが、かなり高レベルのダンジョンだと思います。何しろダークエルフの魔力は強大です……」
そう言うライカの声には、ある種の畏怖みたいなものさえ感じるのだった。
世間では、あちこちで見つかるダンジョンをゴミ捨て場にするのが流行っている。
あるSNSでは、ダンジョンに膨大な廃棄物を放り込んでいく動画があった。
時には、どう考えてもダンジョンの入り口よりも巨大なサイズのものも。
しかし、どういう不思議原理であろう。
例えば自動車なんかでも、ダンジョンはするする飲み込んでしまうのだ。
完全に放り込まなくても、入り口までゴミを密着、接近させれば……。
本当にすいすいと気持ちよく呑み込む。
見ていて、本気で面白くなってしまうくらいである。
国はダンジョンを管理下に置こうとしているが、如何せん頼りない。
ダンジョンを警備させるにも、人にしろ機材にしろ限りがある。
そして、お金がかかるのだ。
ある程度人目につきやすい都会やその近辺はどうにかなる。
だが、地方の、それこそ山村みたいな場所ではどうにもならない。
こんな便利なゴミ捨て場を取り上げられてはかなわない、と。
住民が隠してしまう場合があるようなのだ。
また、国会でも、
「ダンジョンの特性を大いに活用するべきだ!」
と、無責任な声を上げる政治家がいたりする。
最近になってダンジョンを発見して報告した者には懸賞金を出す――
という広告を出したりしているが、効果は今いち。
国よりもどっかの業者に情報を売りつける方が儲かるようだ。
どっかの街の市長なんかも、
「経費削減に利用すべき」
と、ダンジョンを公式なゴミ箱化を叫んでいたりする。
非公式には、半分そうなったも同然の状態なのだが……。
また、ダンジョンに潜り込んで、探索する系の動画も増えていた。
集団の若者がバットや斧でスライムを叩き潰す動画だ。
スライムも反撃するし、時には集団戦となる。
体当たりを喰らえば、大人でも悶絶する威力。
だが、防護をしっかりして、動きを注視すれば決して勝てない相手ではない。
そんな諸要素もあって、見世物としてはなかなか受けていたりした。
悪趣味ではあるのだろうが。
こういう世間の流れとはまた別に、俺もライカの要請でスライム退治をしていた。




